The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

周産期・心疾患合併妊婦

デジタルオーラル(II)57(P57)
周産期・心疾患合併妊婦

指定討論者:金井 貴志(防衛医科大学校 小児科学講座)

[P57-6] 先天性風疹症候群に合併した大動脈弁下狭窄の一例

石井 瑶子1, 清水 武2, 長岡 孝太2, 山口 英貴2, 大山 伸雄2, 柿本 久子2, 藤井 隆成2, 籏 義仁2, 富田 英2 (1.昭和大学小児科学講座, 2.昭和大学病院 小児循環器・先天性心疾患センター)

Keywords:先天性風疹症候群, 大動脈弁下狭窄, 左室流出路病変

【背景】先天性風疹症候群は動脈管開存症、末梢性肺動脈狭窄などの心疾患合併が多く、大動脈弁下狭窄を合併する症例は極めてまれである。【症例】在胎31週、1125gで出生、先天性風疹症候群の診断。白内障、難聴、精神発達運動遅滞および末梢性肺動脈狭窄の診断で経過観察をされた。経過中、心臓超音波検査で大動脈弁通過血流の加速が徐々に顕在化、最大流速が2歳で3.9m/sec、5歳で4.2m/secと圧較差の増悪が予測され、心電図で左側胸部誘導にT波の平坦化を認めた。同時期より児の活動性も増加し、治療方針決定のため全身麻酔下に経食道超音波検査および心臓カテーテル検査を施行した。経食道超音波検査では、大動脈二尖弁と、半月状膜様構造物による限局性の大動脈弁下狭窄を認めた。膜様構造物は大動脈弁直下に位置しKelly分類I型の大動脈弁下狭窄と診断した。大動脈弁は血流による振動と肥厚を伴っていた。心臓カテーテル検査時の引き抜き圧較差は30mmHgであり、引き続き経過観察の方針とした。【考察】先天性風疹症候群に大動脈弁下狭窄を合併した症例は、文献上過去2例を認めるのみで、本症例は3例目である。本邦の1例は本症例と酷似したKelly分類I型の大動脈弁下狭窄であり、外科的に膜様構造物の切除が行われ良好な結果をえている。先天性風疹症候群における動脈管開存症や末梢性肺動脈狭窄の発生機序はウイルスによる直接的な細胞破壊、細胞分化障害や低酸素障害に起因するとされるが、大動脈弁下狭窄の発症機序が同一のメカニズムによるものか否かは明確でない。【結語】先天性風疹症候群に合併した大動脈弁下狭窄の一例を報告した。一般に動脈管開存では大動脈二尖弁をはじめとする左室流出路病変を合併しやすいことが知られている。先天性風疹症候群でも左室流出路病変への注意が必要と考えられた。