The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

周産期・心疾患合併妊婦

デジタルオーラル(II)57(P57)
周産期・心疾患合併妊婦

指定討論者:金井 貴志(防衛医科大学校 小児科学講座)

[P57-7] 新生児一過性心筋虚血の一例

峰松 伸弥1, 飯田 千晶1, 熊本 崇1, 田代 克弥2 (1.佐賀大学医学部附属病院 小児科, 2.唐津赤十字病院 小児科)

Keywords:新生児一過性心筋虚血, 新生児仮死, 心不全

新生児一過性心筋虚血(nTMI)は新生児仮死との合併が知られており、生後早期に見つかる事が多い。このため生後48時間以内での心エコー検査が推奨されている。今回出生後の呼吸障害が改善したにも関わらず、日齢3に心不全に至ったnTMIを報告する。症例:胎児期は異常なく、在胎38週4日、出生体重2712g、二次病院産科施設で出生した。APGAR score 8/8だったが、SpO2低下が持続し出生30分後に小児科医へ診察を要請された。その時点で不規則呼吸と筋緊張低下、チアノーゼがあり、直ちに用手換気が行われSpO2 90%台に回復した。pH 7.098,pCO2 78.6mmHg,Lactate 6.4mmol/Lとアシデミアがあり、新生児呼吸障害と診断されネーザルハイフロー(HFNC)を開始された。治療開始後速やかに呼吸障害は改善し、当日の心エコー検査に異常はなかったが、日齢2に頻脈・哺乳時の呼吸障害、日齢3に胸部X線写真で心拡大が出現し、LVEF 25%と著明な左室機能低下を認めた。また推定右室圧は55mmHgと高く、PPHN+左心不全と診断され、DOA、DOB、ミルリノン、シルデナフィルを開始された。日齢6に痙攣様の動きがあり、日齢7に当院へ転院となった。前医の血液検査でCK-MB・心筋トロポニンの上昇があり、日齢4の心電図で左側胸部誘導のST上昇を認め重篤な心筋虚血が示唆された。その後LVEFは経時的に改善し、日齢19のTl+BMIPPシンチグラフィで血流代謝ミスマッチを認めた。β遮断薬、ACE阻害薬などの慢性心不全治療を展開し日齢36に退院とした。月齢7のシンチグラフィではミスマッチが改善し、CAGで冠動脈が正常であったためnTMIと診断した。出生直後の心エコー所見に問題がなくとも、新生児仮死の蘇生処置を要した場合には継続した心機能の観察が重要である事を再認識した。