[P59-3] 慢性早剥羊水過少症候群の母体から出生した超低出生体重児の肺高血圧に関する考察
キーワード:肺高血圧症, 超早産児, 気管支肺異形成症
【緒言】慢性早剥羊水過少症候群(Chronic abruption oligohydramnios sequence以下CAOS)は,7日以上続く出血源不明の性器出血,出血開始時の羊水量は正常,破水の診断なく羊水過少となる三徴を呈する病態である.早産や児の呼吸障害を発症しやすく,致死率が高い.今回我々が経験した症例を提示し,合併した肺高血圧に関して考察を加え報告する.【症例1】在胎25週1日,出生体重752gの女児.母体は妊娠17週より性器出血があり,CAOSと診断.胎盤病理でびまん性絨毛膜羊膜ヘモジデローシス(以下DCH)や絨毛膜羊膜炎(以下CAM)はなく,臍帯炎を認めた.児は,肺低形成やdry lung syndrome(以下DLS),新生児遷延性肺高血圧症(以下PPHN)を認めず,日齢74まで人工呼吸管理を要した.慢性肺疾患のため在宅酸素療法導入後,日齢117に退院.【症例2】在胎25週5日,出生体重494gの男児.母体は妊娠10週より性器出血があり,CAOSと診断.胎盤病理で局所的なヘモジデリン沈着とCAMの所見を認めた.児は,DLS,PPHNを認めなかったが,高条件の呼吸管理を要した.日齢28に慢性肺疾患の増悪に伴う肺高血圧をきたし,肺血管拡張療法を開始した.日齢108に一酸化窒素を,日齢143に人工呼吸器を離脱するも呼吸状態が安定せず,日齢299に気管切開を行った.【症例3】在胎25週0日,出生体重 721gの女児.母体は妊娠16週より性器出血があり,CAOSと診断.胎盤病理でDCHとCAMの所見を認めた.児は,DLS,PPHNを認めず,心室中隔欠損を合併していた.肺高血圧をきたし,一酸化窒素や酸素投与で改善せず,現在も鎮静下で人工呼吸管理中.【結語】CAOSは早産の原因となり,児の肺に重大な損傷を与える.症例2,3は重度の肺機能低下と肺高血圧を合併したが,肺小動脈に対する酸素や一酸化窒素の反応性は乏しく,治療に難渋する.