[P62-3] 18トリソミーにおける心内修復術に関連した死亡症例の肺循環の特徴
キーワード:18トリソミー, 肺循環障害, 心内修復術
【緒言】当院では18トリソミー(T18)に対して心内修復術(ICR)を施行している。その中で周術期の死亡例や手術を希望されていたがICRに至らなかった症例を経験した。【目的】T18におけるICRに関連した死亡例の肺循環の特徴を明らかにする。【方法】心臓カテーテル検査を施行しえた死亡症例の3例を後方視的に調査した。また、生存例15例のデータと比較した。【結果】症例1、5か月、SpO2=85%。手術希望があり評価の目的で当院に転院。心臓カテーテル検査結果、PAP:68/36(51)mmHg、Pp/Ps:1.0、Qp/Qs:1.7、Rp:10.6WU・m2、急性肺血管反応性試験(AVT)、Rp:11.5と反応なし。手術適応なしと判断され紹介もとへ転院し、その数日後に死亡した。症例2、1才2か月、SpO2:98%。日齢6に体重600gで肺動脈絞扼術(PAB)を施行。PAP:32/15(24)mmHg、Qp/Qs:1.1、Pp/Ps:0.45、Rp:7WU・m2、Qp:2.3L/min/m2。PAB後でPA圧上昇は軽度であったがQpが少なくRpが高値であった。PA圧が低く手術適応と判断されICRを施行したがARDSで死亡。症例3、2才1か月、SpO2=92%、PAP:63/30(45)mmHg、Qp/QS:1.1、Pp/Ps:0.83、Rp:12.3WU・m2。AVTにてRpが4.4まで低下。手術適応と判断し心内修復術を施行。術後NOでのPH管理を要し循環管理中に敗血症に起因する肺出血で死亡。生存例でもRpが6を超える症例があったがAVTで3以下まで低下していた。生存例のPABの施行時期は、全例で生後4か月までに施行していた。【考察】死亡例は術前のRpが高値であった。肺血管の反応性が残存している症例は生存していた。手術適応がなかった症例は生後5か月ですでにEisenmenger症候群を呈していた。良好な結果を得るためには遅くとも生後4か月までにPABを行い、術前に血管反応性を確認する必要がある。【結語】心内修復術に到達し良好な経過を得るためには適切な時期でのPABと良好な肺循環の維持が重要である。