[P63-3] 気道閉塞病変を合併した単心室患者の治療成績
Keywords:気管閉塞病変, 単心室, Fontan循環
【背景】Fontan循環に気道病変の影響は大きく, 単心室(SV)症例に気道閉塞病変を伴う場合は気道病変へ外科的介入が望ましいが,その成績を検討された報告は少ない.【方法】気管狭窄(TS)と気管気管支軟化(TBM)を含む気道閉塞病変を有するSV患者で,2000年から2019年の間に当院で治療した17例を対象とした.【結果】TBMが13例, TSが4例. SVに対する初回姑息術は体肺動脈シャント(SP)6例, Norwood型手術4例, 肺動脈絞扼(PAB)が3例, Glenn型手術が1例で, 気道介入は16例に行った.気道介入は初回姑息術時4例,姑息術後8例, Norwood時2例, Norwood後2例に行った.気道介入時の月齢は5[0-14]ヶ月, 体重は5.5[3.7-10.9]kgであった. TBMの圧排構造物は,上行大動脈(aAo)-大動脈弓が6例で(内4例がSP後のaAo拡大であり, それらは全て右側大動脈弓または修正大血管転位症), aAo吊上げ5例, aAo縫縮1例を施行. 下行大動脈(dAo)が3例あり, Norwood後dAo後方吊下げ2例, Norwood時大動脈弓部延長を1例に施行. 主肺動脈が2例で, 主肺動脈切離+SPを1例, Norwoodを1例に施行. 左肺動脈(LPA)が2例で, LPA吊上げを1例, LPA前方転位を1例に施行. TSはバルーン拡張1例,気管形成を2例施行した. 内2例はTBMを伴い, その内1例は再介入したが, 他1例は気管形成前に低酸素脳症をきたしていた. 介入していない1例は, 気管分岐部狭窄が強く, さらにaAo拡大による気管支軟化症を伴い介入困難で, 気管切開後に換気不全で死亡した.術後遠隔期死亡は2例(痰による窒息, 脳炎)あった.生存者全員に呼吸症状の改善または消失を認めた. 術前人工呼吸管理は8例, 術後新規気管切開は2例要した. Fontan到達が9例(53%), Fontan待機中が2例, TCPS後が2例である. Fontan前の平均肺動脈圧は11.8±1mmHgであった.【結論】気道閉塞病変はFontan到達の重大な阻害因子であるが, 姑息術施行の際にはそれぞれの解剖学的形態に応じて, 適切に気道への介入を講じることが重要である.