The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

デジタルオーラル

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラル(II)65(P65)
川崎病・冠動脈・血管1

指定討論者:横山 詩子(東京医科大学 細胞生理学分野)

[P65-3] 当院で経験した関節炎合併川崎病の臨床像の研究

池田 和幸, 竹下 直樹, 岡本 亜希子, 遠藤 康裕, 井上 聡, 森下 祐馬, 河井 容子, 梶山 葉, 中川 由美 (京都府立医科大学付属病院 小児科)

Keywords:川崎病, 関節炎, IVIG不応

【背景】川崎病における関節炎の合併頻度は報告により様々だが、免疫グロブリン静注療法(IVIG)確立以降は8%前後との報告がある。一方、関節炎合併川崎病の治療指針は日米ガイドラインに収載されておらず、過去の報告を参考に加療しているのが現状である。【目的】当院で経験した関節炎合併川崎病について、血液データ、治療反応性、冠動脈予後に関して比較検討する。【方法】2012年4月から2019年11月までに当院にて加療した川崎病40例を対象とした。【結果】40例の内訳は、発症時年齢7か月~6歳11か月、中央値 2歳6か月、男女比1.85であった。関節炎の合併は3例(7.5%)に認められ、年齢中央値2歳11か月、男女比2.0、主要症状6項目(5-6)、群馬スコア 5(0-9)、初発からの発熱期間 18日(7-23)、関節炎発症病日 35(26-39)であった(中央値、範囲)。関節MRIでは、3例で関節液貯留あり、炎症部位は股関節 2、膝関節 2、増殖滑膜の造影効果 2、骨破壊像 0であった。IVIG不応例は21例(52.5%)存在し、関節炎合併例は全例でIVIG不応であり、2例でシクロスポリンA、インフリキシマブ使用後に関節炎を発症した。関節炎の治療はアスピリン(ASA) 1例、プレドニゾロン(PSL)+ASA内服 1例、ASA+PSLからASA+メトトレキサート(MTX)内服へ変更1例であった。40例の冠動脈予後は、冠動脈病変CAL(-)27、小瘤 3、中等瘤6、巨大瘤 4であったが、関節炎合併例でCALの併発はなかった。血清MMP-3やIL-6は1例で、関節炎治療前後に360から57ng/ml、21.1から3.3pg/mlへ改善した。【考察】関節MRIで骨破壊像はなく、慢性関節炎との鑑別は可能であったが、1例でPSLの減量が困難であり、滑膜増殖を抑制する目的でMTXの導入が必要であった。関節炎の再燃はなく、全例で関節炎合併川崎病と診断した。【結論】IVIG不応例では一定の割合で関節炎を合併し、川崎病の治療継続だけでは改善しない症例も存在した。今後エビデンスの蓄積が必要と考えられた。