[P65-4] 川崎病急性期における3誘導異常Q波の検討
キーワード:川崎病, 異常Q波, 冠動脈瘤
【目的】川崎病急性期における心電図変化、とくに3誘導の異常Q波の臨床的意義の検討【方法】2019年1月1日から2019年12月31日までの1年間に、当院に入院した不全型を含む川崎病74例についてカルテ記載をもとに後方視的に検討した。絶対値で0.5mV以上を異常Q波とした。【成績】不全型を含む川崎病症例は74例(男児40例、女児34例)で、中央値は2歳(日齢26~6歳)であった。そのうち11例(14.9%)で3誘導異常Q波を認めた。NTproBNPの平均値は1101.3 pg/mL(3誘導異常Q波群1407.5 pg/mL、正常群1043.3 pg/mL)で3誘導異常Q波を認めた群で高かった。これらの症例ではとくに先天性心疾患の既往はなく、入院時の心臓超音波検査でも心臓の構造異常を認めなかった。3誘導で異常Q波を認めた症例のうち1例は脳症を来し、1例は川崎病の再発であった。冠動脈の拡大を認めた症例は3例であったが、それらで有意な心電図変化は認められなかった。【結論】川崎病の急性期に3誘導の異常Q波を認めることは知られていたが、疫学や臨床的意義について明らかにした報告は少ない。心電図変化と川崎病に関連した脳症や、川崎病の再発との関連は明らかではない。血液検査や臨床症状と比較して検討する余地がある。10年前の川崎病急性期症例群と、検診での散発上室性期外収縮、心室期外収縮を対象として比較検討中である。