[P67-3] 不全型川崎病と診断された6例
Keywords:不全型川崎病, 冠動脈瘤, 予後
【背景】不全型川崎病(Incomplete Kawasaki disease:IKD)は臨床経過/予後が様々である。巨大冠動脈瘤(>φ8mm:Giant-AN;G-AN)を認める事もある。臨床経過/予後は明らかでない。【目的】IKDの臨床経過/予後を明らかにする事。【対象/方法】対象は2010年1月~2020年1月の期間に入院加療となった6例で、診療録を用い後方視的に検討した。【結果/予後】初回入院時にIKD確定診断は4例(Group1:G1)で、外来経過にてIKD確定診断は2例(Group2:G2)であった。G1の内、3例はKD主要症状に併せて、心エコー(Cardiac-US:C-US)にて冠動脈病変(CAL)を認め、IKDと診断された。G2の2例は発熱/眼球結膜充血/口唇口腔所見を呈しており、その後に膜様落屑を認め、C-USにてCALを指摘され、IKDと診断された。免疫グロブリン(IVIG)療法は5例に施行された。G1は全例、IVIGを施行された(1st line 3例/2nd line 1例)。G2の1例は再入院時に、くすぶり型川崎病(indolent KD)と判断され、IVIGを施行された(1st line)。IVIGを施行された全5症例にて 3rd line治療は追加されていない。G1の4例中、3例で冠動脈造影(CAG)にて、冠動脈瘤(coronary artery aneurysm:CAA)を指摘された。G2の2例中、1例で、CAAを指摘された(1例は抄録作成時点でCAG未施行)。G-ANはG1/G2に1例ずつ認めた。【考察】G1でIKDと診断された症例ではC-USが診断の一助となっている症例が多く、C-USが診断に有用/必須であることが示された。臨床症状だけではIKDが見逃される可能性がある事を示唆していると思われる。G2では新たに膜様落屑が出現した事とC-USにより、IKD診断に至る事が出来たと思われる。2例でG-ANを来した。1st/2nd line治療で症状の軽減を認めてもG-ANの可能性がある。【結語】IKD診断にはC-USは有用であり、IKDの可能性を念頭に置いての外来経過観察は重要である。しかし、G-ANも稀ではない。