[P70-1] 当院の冠動脈瘻の臨床像
キーワード:冠動脈瘻, ファロー四徴症, 動脈管開存症
【背景】冠動脈瘻(CAF)は、心不全や心筋虚血による症状がある場合や、冠動脈の瘤状拡大や感染性心内膜炎の合併があれば治療適応となるが、自然閉鎖することも多い。【目的】当院でCAFと診断された症例を振り返り、臨床像と治療経過を明らかにする。【対象と方法】2000年から2020年にCAFと診断された12例の性別、診断時年齢、診断契機、開口部位、治療、自然閉鎖、フォローアップ期間などに関して診療録を元に後方視的に検討した。【結果】男性6例(50%)、診断時年齢:中央値2.4歳(月齢1~12歳)、有症状(胸痛):1例(8.3%)、心雑音:4例(33%)、開口部位:肺動脈6例(50%), 右室4例(33%), 右房2例(17%)、カテーテル治療:2例(17%), 外科的閉鎖術:2例(17%)、自然閉鎖:6例(50%)、フォローアップ期間:中央値4.1年(1年~10年)であった。他の基礎疾患により偶発的に心エコーで発見された症例は、ファロー四徴症(TOF)修復術後以外は全て自然閉鎖していた。カテーテル治療、外科的閉鎖術ともに合併症は認めず、遺残短絡はカテーテル治療で1例に僅かに認めた。また他院から紹介されたケースで、診断名が動脈管開存症(PDA)であった症例は2例(17%)で、ともに肺動脈に開口している症例であった。TOF修復術後に生じた例は3例(25%)で、すべて右室流出路(RVOT)に開口していた。【結語】偶発的に心エコーで診断された症例は、TOF修復術後以外全て自然閉鎖していた。一般病院からの紹介されるPDA症例の中にCAFが混在している可能性もある。TOF修復術後はRVOTへのCAF発症も念頭に置くべきである。