The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

川崎病・冠動脈・血管

デジタルオーラル(II)70(P70)
川崎病・冠動脈・血管6

指定討論者:上砂 光裕(日本医科大学多摩永山病院 小児科)

[P70-3] 小児期に外科手術を施行した冠動脈瘻の2例

木村 成卓, 秋山 章 (慶應義塾大学 外科(心臓血管))

Keywords:冠動脈瘻, 冠動脈瘤, 外科手術

【背景】冠動脈瘻は比較的稀な疾患であり心雑音以外無症状なことが多い。小さな瘻であれば積極的な治療適応はないが、成長とともに拡大することもあり、治療の適応・時期については議論の余地があるところである。今回小児期に手術を施行した冠動脈瘻の2例を経験したので報告する。【症例1】6歳男性。1ヵ月時に検診で心雑音指摘、精査にて右冠動脈右室瘻と診断された。心不全・心筋虚血所見認めず経過観察されていたが、4歳時にTTE上軽度左室拡大あり。5歳時の心臓カテーテル検査にてQp/Qs 1.3であり、心拡大所見も考慮し治療適応となった。瘻は右冠動脈後下行枝より右室へ流入しており、位置・形態的にカテーテル治療は困難、手術の方針となった。手術は心拍動下で瘻を結紮閉鎖、術後は抗凝固療法を導入し特に問題なく経過し術後10日目に退院となった。【症例2】4歳女性。3歳時に心雑音指摘、精査にて左冠動脈右房瘻と診断された。心臓カテーテル検査にてQp/Qs 1.1であったが左冠動脈主幹部の拡大及び径14mmの冠動脈瘤を認め治療適応となった。瘻は左冠動脈主幹部より背側を通り右房へ流入、カテーテル治療も考慮したが根治性の点から手術の方針となった。手術は人工心肺を用い心停止下で施行、瘻中枢側を分岐直後で離断し縫合閉鎖、冠動脈瘤は切開し解放した。また右房内から瘻開口部を直接縫合閉鎖した。術後は抗凝固療法を導入、特に問題なく経過し術後8日目に退院となった。【結語】冠動脈瘻の2例に対し小児期に外科手術を施行し良好な結果を得た。冠動脈瘻に対しては症例毎に治療戦略をたて、早期の外科的介入も常に選択肢として考慮する必要があると考えられた。