[P72-1] 南魚沼学校検診プロジェクト -学校心臓検診の包括的・経年的評価のためのデータベース作成-
Keywords:学校心臓検診, 学校保健, 疫学
【背景】心電図は成長に伴い変化し、体格の影響も受けると考えられている。よって体格などの情報も含めた包括的, 経年的評価が心電図判定の精度向上につながる。しかし学校心臓検診ではほとんどなされてない。そこで我々は2018年度から教育委員会と協力し、学校心臓検診の包括的・経年的評価のため、心電図波形を含めた学校検診情報のデータベース化を開始した。今回はベースライン調査として体格と心電図指標の関連を報告する。【対象】2018年に南魚沼市小中学校に在校の小1、小4、中1 計1411名中、研究参加に同意し、心臓、腎臓などに基礎疾患なく、心電図記録良好で不整脈のなかった1375名【方法】体格指標として身長、肥満度、体表面積を、心電図指標として自動計測のQRS間隔、QRS電気軸、V2のS波高を、学年別男女別に検討した。【結果】1)QRS間隔は男女共に年齢に従い延長した。学年別男女別の検討では、QRS間隔は身長と最もよい正相関を示し、肥満度と相関はなかった。2)QRS電気軸は男女共に年齢差はなかった。学年別男女別の検討では、身長や体表面積に相関なく、中1女のみに負相関があった。3)V2のS波高は小1では性差はないが、年齢に従い男で増高、女で減高し、中1では男が女に比し有意に高かった。学年別男女別の検討では、V2のS波高は身長に相関なく、肥満度と最も良い相関を示して男女共に小4と中1で負相関があった。【考察】小児期での体格と心電図測定値の関連が確認され、それには男女差があった。学校心臓検診では、性別や体格も加味した心電図評価が精度向上につながる可能性がある。さらに個々の心電図の経年比較の意義を今後検討する方針である。将来的にはA I活用し、これらの情報を含めた学校心臓検診の心電図判定が望まれる。