[P72-3] 学校心臓検診でのQT延長スクリーニングを自動解析で行うための基準値
キーワード:QT延長, 学校心臓検診, スクリーニング
【背景】学校心臓検診(心検)は種々の心疾患、特にQT延長症候群の早期発見、症状出現の防止に役立っていることが報告されているが、そのスクリーニング基準値は接線法による手動計測・Fridericia補正が元になっている。一方、微分法を用いる自動解析のQT時間は、接線法での手動計測QT時間より長く計測されることが知られており、現在の基準値でスクリーニングする場合に自動解析QT時間を用いると偽陽性が多いことが問題である。接線法でスクリーニングした児童生徒を真陽性としたとき、真陽性を見逃さない(偽陰性を出さない)ための自動解析値(微分法)でのQTcのスクリーニング値を検討した
【目的】心検でQT延長をスクリーニングする自動解析基準値を策定する。
【方法】2009年から2013年の5年間に、鹿児島市の心検を受けた小学校1年・中学校1年・高校1年全員の心電図を後方視的に解析した。Fridericia補正での自動解析QTc値が基準値を超えているもの、または自動解析QTc値の長い方から1%までのものを抽出し、接線法による手動計測でQTc値を再計測した。各群男女別に手動による再計測で基準を超えている対象(真陽性)の自動解析QTc値を参考に、基準値を算出した。
【結果】対象者は総数75,025名、手動計測での再計測対象者は1,551名 (2.1%) であった。各群での自動解析スクリーニング基準QTc値は小1男女とも440ms、中1男子460ms、中1女子450ms、高1男子450ms、高1女子460msとなった。
【考察とまとめ】自動計測による基準値は各群とも従来の接線法による基準値より5~15ms長くなった。従来の基準値で自動解析により偽陽性となる対象の割合は90~97%であったのに対し、新しい基準値では50~83%へと削減することができた。学年・性別毎にQTc基準が異なる傾向は自動計測でも同様であり、心検でのスクリーニング基準値は学年・性別毎に定める必要がある。
【目的】心検でQT延長をスクリーニングする自動解析基準値を策定する。
【方法】2009年から2013年の5年間に、鹿児島市の心検を受けた小学校1年・中学校1年・高校1年全員の心電図を後方視的に解析した。Fridericia補正での自動解析QTc値が基準値を超えているもの、または自動解析QTc値の長い方から1%までのものを抽出し、接線法による手動計測でQTc値を再計測した。各群男女別に手動による再計測で基準を超えている対象(真陽性)の自動解析QTc値を参考に、基準値を算出した。
【結果】対象者は総数75,025名、手動計測での再計測対象者は1,551名 (2.1%) であった。各群での自動解析スクリーニング基準QTc値は小1男女とも440ms、中1男子460ms、中1女子450ms、高1男子450ms、高1女子460msとなった。
【考察とまとめ】自動計測による基準値は各群とも従来の接線法による基準値より5~15ms長くなった。従来の基準値で自動解析により偽陽性となる対象の割合は90~97%であったのに対し、新しい基準値では50~83%へと削減することができた。学年・性別毎にQTc基準が異なる傾向は自動計測でも同様であり、心検でのスクリーニング基準値は学年・性別毎に定める必要がある。