The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

学校保健・疫学・心血管危険因子

デジタルオーラル(II)72(P72)
学校保健・疫学・心血管危険因子1

指定討論者:安田 謙二(島根大学医学部 小児科)

[P72-4] 学校検診にてQT延長(LQT)を指摘され、遺伝子検査を施行した18例の検討

水野 隼人1, 長井 典子1,3, 成瀬 和久1, 五藤 明徳1, 鈴木 一孝2,3 (1.岡崎市民病院 小児科, 2.名古屋市立大学大学院 医学研究科 新生児・小児医学分野, 3.岡崎市、幸田町小・中学生心臓検診班)

Keywords:学校検診, QT延長症候群, 遺伝子検査

[背景]当院では2018年に学校検診で軽度のLQTを指摘されていた若年成人のCPA蘇生後で、LQT2が判明した症例を経験した。それまでは、明らかな症状を有する場合や著しいLQTに限り、遺伝子検査を依頼してきたが、商業的にLQT1-3の遺伝子検査が可能になったため、学校検診でLQTを疑う症例は積極的に当院に紹介いただき、遺伝子検査を勧める方針に変更した。[目的]小中学校の学校検診でLQTを疑われ当院に紹介され、遺伝子検査を施行した症例の遺伝子変異と臨床症状の特徴の検討 [方法]2018年8月から2019年12月に、学校検診でLQTを疑われ当院に紹介され遺伝子検査を行った18例の患者背景、遺伝子検査結果と心電図の特徴を検討した。[結果]性差はなかった。10例が小学生、8例が中学生で、家族歴は兄弟例を含む6例にあった。起立性調節障害様失神の既往がある症例が2例あったが、運動負荷で失神やVTが誘発された症例はなかった。LQT1-3に関する遺伝子変異を検出した症例は16例あり、そのうちLQT1のみが8例、LQT2のみが1例、LQT3のみが3例あり、複数の遺伝子変異は、LQT1と3が3例、LQT2と3が1例存在した。また心電図からLQT2を疑った9例のうち、LQT2の遺伝子変異単独は1例のみであり、他の遺伝子変異としてLQT1が3例、LQT3が1例、複数の遺伝子変異を持っていた症例はLQT1と2が1例、LQT1と3が3例であった。[考察]LQTは遺伝性のイオンチャンネル病でLQT1-3が約90%を占める。それぞれの型によって運動負荷や徐脈時での心電図変化や突然死の状況に特徴があるとされる。今回心電図上は軽症と思われる例も検討した所、心電図から疑った病型と遺伝子変異の病型が異なる症例や複数の遺伝子変異を持つ症例が多く存在した。 [結論]LQTを疑う症例では遺伝子検査で、LQT1-3までの何らかの遺伝子変異を持つ症例が多かった。表現型と遺伝子型は必ずしも一致せず遺伝子変異の持つ意味と病原性の強さに関しては今後の検討を待つべきと思われた。