The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

学校保健・疫学・心血管危険因子

デジタルオーラル(II)74(P74)
学校保健・疫学・心血管危険因子3

指定討論者:太田 邦雄(金沢大学附属病院 小児科)

[P74-4] 小児期完全右脚ブロックの検討(第1報):QRS幅は手術、年齢の影響を受ける

判治 由律香1, 松裏 裕行1, 川合 玲子1, 小澤 司2, 片山 雄三2, 中山 智孝3, 高月 晋一1 (1.東邦大学医療センター大森病院 小児科, 2.東邦大学医療センター大森病院 心臓血管外科, 3.高知大学医学部付属病院 小児科)

Keywords:完全右脚ブロック, 学校心臓検診, QRS幅

【背景】完全右脚ブロックCRBBBではQRS幅の増大により必然的にQT時間が延長するが、QRS幅がQT延長に与える影響は明確でなく判定基準は定まっていない。【目的】小児のCRBBBにおいてQRS幅に影響を与える因子を検討すること。【方法】対象は2008年1月~2018年12月の11年間に当院でCRBBBと診断した6-18歳の105人(男56人、女49人)、心電図294件(男159件、女135件)である。年齢階層を小学生低学年(6-8歳)、同 高学年(9-11歳)、中学生(12-14歳)、高校生(15-18歳)の4群に分類した。また、基礎疾患の有無と種類によりSimple群(S群:基礎疾患なし、VSD術後、HCM等)、Complex群(C群:VSD以外の先天性心疾患術後)の2群に分類し、QRS幅と性別・年齢・基礎疾患等との関連を後方視的に検討した。統計処理には一元配置分散分析等を用いて、p<0.05を有意水準とした。【結果】心電図は小学生低学年88件、同高学年70件、中学生54件、高校生82件でS群106件、C群188件で、各年齢階層の男女比、S群C群構成比には有意差はなかった。全294件のQRS幅は中央値135 (120-190)ms、QT421 (338-548)ms、F-QTc 446 (380-525)msであった。QRS幅は男女間で有意差を認めず、かつQRSとHRに有意な相関はないものの年齢階層間には有意な差があり(p<0.001)、低学年は中学生(p<0.001)、高校生(p<0.001)に比し有意に短かかった。さらにC群(140.8 ± 14.5ms)はS群(132.5 ± 9.8ms)に比べQRS幅が有意に長かった(P<0.001)。【考察】CRBBBを呈する小児ではQRS幅に性差はないが、年齢や基礎疾患の有無によってQRS幅が影響を受けるためF-QTcやB-QTcによってQT延長を評価することは難しいと考えられた。【結論】CRBBBのQRS幅は年齢・基礎疾患・手術に影響される。従ってQRS幅の変動の影響を受けずQT時間を評価する方法と予後の検討が必要である。