第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

働き方改革:私たちはどのように働くべきか

デジタルオーラル(II)75(P75)
働き方改革:私たちはどのように働くべきか

指定討論者:新居 正基(静岡県立こども病院)

[P75-2] 「働き方改革」を順守するため当科では少なくとも2名の常勤増員が必要である。

高室 基樹, 澤田 まどか, 名和 智裕, 白石 真大, 吉川 靖 (北海道立子ども総合医療・療育センター 小児循環器内科)

キーワード:働き方改革関連法案, 法令順守, 常勤医増員

【背景】2019年4月に施行された働き方改革関連法は、労使協定の締結で可能となる時間外労働の上限を「月45時間、年360時間」、繁忙期の特例でも「年720時間」と定めている。医師等については業務の特殊性に配慮し5年後に適用される予定である。【目的】2024年に医師に同法が適用された場合、順守に必要な小児循環器医数を試算する。【方法】当科の小児循環器医(管理職1名、常勤専門医2名、常勤修練医1名、非常勤修練医1名)が2019年7月から12月の出勤・退勤時刻を記録した。病院滞在時間から勤務時間と当直時間を差し引いたものを超過時間とした。法令による時間外労働上限月45時間および一般に過労死ラインとされる月80時間と実際の超過時間の差から、それぞれを順守するために必要な人数を求めた。一方、増員により超過時間が勤務時間に振り分けられると想定し、平均勤務時間に時間外勤務45時間および80時間を加えて想定在院時間を6か月換算で求めた。これでそれぞれの超過時間を除して必要人数を推定した。【結果】期間中申告不十分が1か月あり、29人・月を解析した。月当たりの業務命令時間は168.5から252.0(平均212.5)時間で、月当たりの超過時間は18.8から216.8(平均106.3)時間であった。累積超過時間と時間外労働45時間相当と80時間相当との差はそれぞれ1778.4時間、763.4時間であり、すべてを時間外勤務に換算した場合に必要な増員はそれぞれ6.6人と1.6人と算出された。一方、超過時間をすべて勤務時間に振り分けた上で求めた増員必要数は1.2人と0.4人であった。【考察】最低必要増員数0.4人は過労死ラインであり、医師業務の性質上超過時間をすべて勤務時間に振り替えることできないため、法令順守には最低1名の増員が必要と考える。本調査は非常勤1名を含んでおり、当科の業務持続性を担保するため常勤医で賄うには2名の増員が必要であろう。