第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

働き方改革:私たちはどのように働くべきか

デジタルオーラル(II)75(P75)
働き方改革:私たちはどのように働くべきか

指定討論者:新居 正基(静岡県立こども病院)

[P75-3] 働き方改革の推進におけるジェンダーバイアスの意味

岡崎 三枝子1, 山田 俊介2, 豊野 学朋2 (1.秋田大学医学部附属病院 総合臨床教育研修センター, 2.秋田大学大学院医学系研究科医学専攻機能展開医学系小児科学講座)

キーワード:男女共同参画, ジェンダーバイアス, 働き方改革

長年にわたる医師の過酷な勤務状況を鑑み、医師の労働環境改善を目的に働き方改革が叫ばれ現在様々な施策が検討されている。また一方では、働き方改革が叫ばれる以前から女性医学生増加に伴う女性医師支援の必要性が高まり、様々な育児支援・短時間勤務等の制度が整備されてきている。これらの制度はキャリア継続や離職防止に重要な役割を果たしているが、専門性を高め、責任ある循環器医としての女性医師育成には直接つながってはいない。これらの制度を基盤として就労環境を整えた上でさらに個々の特性を生かし、関心ある分野での専門性を高めていく過程が必要となる。ところが、キャリアを積む過程で、文化背景や無意識から生じる様々なジェンダーバイアスに直面し、多くの女性医師が意欲をそがれる経験をする。また、女性自身もそのジェンダー特性にとらわれており、過剰に謙虚に振る舞い、自己評価を低く、意見を控えめに表現し、交渉・要求をしないという特徴がある。部門責任医師から見た場合、意欲を失い、控えめな自己評価・過小評価をする女性医師に対して、その能力を発揮する場を与えにくく、女性指導医が育たない一因となる。このようなジェンダーに関する問題点を放置せず、男女ともにこれらのジェンダー特性を学ぶことがよりよい女性指導医育成につながり、意欲を失わせず、責任ある女性指導医を育て、重要な仕事を分担できるようになり、働き方改革につながっていく。厚生労働省平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の現況によると女性循環器専門医は全循環器専門医の10.2%、心臓血管外科専門医のそれは3.3%である。これらの傾向は諸外国のデーターとほぼ一致し、人数的にも男性優位の分野であることに異論はない。そうであるからこそより注意を払い、女性指導医育成に目を向けていく必要があると考えられる。