[P76-1] 小児心臓カテーテル検査における全身麻酔導入後の代謝性アシドーシス発症頻度および危険因子の検討
Keywords:小児心臓カテーテル検査, 全身麻酔, 代謝性アシドーシス
【背景と目的】全身麻酔を受ける先天性心疾患合併患児では、術前絶飲食などが酸塩基平衡に悪影響を与える可能性がある。心臓カテーテル検査開始時の代謝性アシドーシスの発症頻度およびその危険因子について後方視的に検討した。【方法】2018年度に当院で全身麻酔下に心臓カテーテル検査を受けた6歳未満の症例を対象とした。検査開始時の血液ガス分析で重炭酸イオンが20 mEq/L未満を代謝性アシドーシスと定義し、代謝性アシドーシス群(A群)と非代謝性アシドーシス群(C群)に分け、年齢、身長、体重、出生週数、出生体重、性別、遺伝子疾患の有無、ASA-PS、チアノーゼの有無、内服薬、術前絶飲食時間、術前輸液、入室時刻、RACHS-Iスコア、CRISPスコア、血液ガスデータ、カテーテル検査データについて検討を行った。2群間の比較にはMann-Whitney testまたはFisher’s exact testを用い、危険因子解析にはロジスティック回帰分析を用いた。【結果】6歳未満で心臓カテーテル検査を受けた227例のうち201例(A群43例、C群158例)を対象とした。代謝性アシドーシスの発症頻度は21.3%であった。A群はC群に比較して、血糖値(A群77 mg/dL [IQR 65, 86]、C群 87 mg/dL [IQR 79, 83])、SSVCO2(A群 62.4% [IQR 56.5, 67.8]、C群 66.6% [59.6, 71.1])が低く、RACHS-I、CRISPスコアが高い患児の割合が多かった(P <0.05)。ロジスティック回帰分析では低血糖が危険因子と考えられた(OR 0.939, 95%CI 0.912-0.966, P <0.0001)。【考察と結論】低血糖が代謝性アシドーシスの危険因子であったが、術前絶飲食時間などと代謝性アシドーシスの間に関連は見出せなかった。