[P77-3] 髄膜炎を併発したメチシリン感受性ブドウ球菌による感染性心内膜炎
キーワード:感染性心内膜炎, 細菌性髄膜炎, メチシリン感性黄色ブドウ球菌
ブドウ球菌は、国内の感染性心内膜炎(IE)の原因の3分の1を占める。日本国内におけるメチシリン感受性ブドウ球菌(MSSA)によるIEの治療の第一選択薬はセファゾリンとなっているが、中枢移行性は不良であり、髄膜炎併発例で問題となる。MSSAによるIEに髄膜炎を併発し、抗菌薬の選択に難渋した症例を経験したので報告する。
症例は柔道部に所属する12歳男児。心疾患を指摘されたことはなく、歯科治療の既往なし。アトピー性皮膚炎のコントロールが不良であった。発熱、意識障害を主訴に第3病日に前医に入院した。CRP 13.1mg/dL、髄液検査で多核球優位の細胞数上昇(細胞数728、多核球98%)あり、細菌性髄膜炎の診断で治療を開始した。第4病日に血液培養が陽性となり、僧帽弁後尖に付着する疣腫(最大径13.8mm)と僧帽弁前尖の逸脱、軽度の僧帽弁逆流、多発性梗塞(脳、腎臓、脾臓)を認めたため、髄膜炎・多発性梗塞を併発した感染性心内膜炎の診断で当センターに転院となった。10mmを超える疣腫を準緊急手術の適応として第5病日に疣腫除去術、僧帽弁形成術を施行した。血液培養と疣腫からはMSSAが検出された。セフォタキシム、バンコマイシンで治療を開始したが、薬剤熱や好中球減少をきたし、抗菌薬選択に難渋した。
本症例は軽度の僧帽弁逸脱症とアトピー性皮膚炎がMSSAによるIE発症に関連したと考えられる。早期の手術によりさらなる塞栓症の増悪なく、転機は良好であった。
米国心臓協会のガイドラインではMSSAによるIEの第一選択薬は中枢移行性も良いブドウ球菌用ペニシリン(ナフシリン、オキサシリン等)であるが、国内では未承認である。2019年12月にナフシリンは厚生労働省から「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて開発企業の募集又は開発要請を行った医薬品」とされ、今後国内での販売が待たれる。
症例は柔道部に所属する12歳男児。心疾患を指摘されたことはなく、歯科治療の既往なし。アトピー性皮膚炎のコントロールが不良であった。発熱、意識障害を主訴に第3病日に前医に入院した。CRP 13.1mg/dL、髄液検査で多核球優位の細胞数上昇(細胞数728、多核球98%)あり、細菌性髄膜炎の診断で治療を開始した。第4病日に血液培養が陽性となり、僧帽弁後尖に付着する疣腫(最大径13.8mm)と僧帽弁前尖の逸脱、軽度の僧帽弁逆流、多発性梗塞(脳、腎臓、脾臓)を認めたため、髄膜炎・多発性梗塞を併発した感染性心内膜炎の診断で当センターに転院となった。10mmを超える疣腫を準緊急手術の適応として第5病日に疣腫除去術、僧帽弁形成術を施行した。血液培養と疣腫からはMSSAが検出された。セフォタキシム、バンコマイシンで治療を開始したが、薬剤熱や好中球減少をきたし、抗菌薬選択に難渋した。
本症例は軽度の僧帽弁逸脱症とアトピー性皮膚炎がMSSAによるIE発症に関連したと考えられる。早期の手術によりさらなる塞栓症の増悪なく、転機は良好であった。
米国心臓協会のガイドラインではMSSAによるIEの第一選択薬は中枢移行性も良いブドウ球菌用ペニシリン(ナフシリン、オキサシリン等)であるが、国内では未承認である。2019年12月にナフシリンは厚生労働省から「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて開発企業の募集又は開発要請を行った医薬品」とされ、今後国内での販売が待たれる。