The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

その他

デジタルオーラル(II)78(P78)
その他3

指定討論者:矢崎 諭(榊原記念病院 小児循環器科)

[P78-2] 右室内腫瘤、多発肺塞栓症で発症したべーチェット病の一小児例

町田 大輔1, 増田 拓1, 金子 翔太朗1, 富永 訓央1, 鈴木 伸一1, 黒田 浩行2, 中野 裕介2, 渡辺 重朗2, 鉾碕 竜範2, 益田 宗孝1 (1.横浜市立大学 附属病院 心臓血管外科, 2.横浜市立大学 附属病院 小児循環器科)

Keywords:心臓腫瘤, ベーチェット病, 肺塞栓症

【症例】15歳、男児【主訴】不明熱、乾性咳嗽【入院前経過】頭痛,嘔気で発症。39℃を超える間欠熱が持続し前医受診。頸部痛出現し前医入院。髄膜炎は否定。MRIで脳静脈洞・内頚静脈血栓塞栓症の診断。抗菌薬治療とともに抗凝固療法開始。症状はやや改善も発熱持続。入院2週間後に乾性咳嗽が出現し胸部CTで両肺多発結節影あり。診断・治療に難渋し入院1か月後に当院へ紹介転院となった。【入院後経過】間欠熱は持続。血液培養を含めた各種培養検査はすべて陰性。WBC13800/μl、CRP11.4mg/dLと炎症あり。胸部CTでは両肺末梢に多発結節影あり。心臓超音波検査にて右室内腔に心尖部に付着した径30×20mm大の可動性のある内部不均一な腫瘤を認めた。感染性心内膜炎、心臓腫瘍を鑑別に抗菌薬治療と抗凝固療法を行ったが腫瘤は増大傾向となり外科手術の方針となった。【手術所見】右室内に表面平滑な淡黄色の柔らかい腫瘤あり。内腔に液体貯留あり穿刺吸引すると薄い被膜内に膿性の内容物あり。周囲の心筋には線維組織を伴う変性あり可及的に一塊に切除した。術中検体培養は陰性。他に病変なし【病理組織学的所見】心筋に好中球主体の高度炎症細胞浸潤,肉芽組織形成,微小血栓あり 血管炎や肉芽腫、腫瘍の所見なし 菌体なし【術後経過】手術後は解熱し頭痛・咳嗽などの症状が消退したが1週間程で再燃。各種培養が前医も含めすべて陰性であり、心臓手術でのsteroidが臨床的に有効であった可能性からcorticosteroidによる治療開始。症状・検査所見・画像所見が改善した。リウマチ性疾患を含めた各鑑別疾患の検討から臨床的にベーチェット病の診断となり治療を継続。軽快退院した。【考察】心臓腫瘤、肺塞栓を発症する若年性ベーチェット病は非常に稀であり、感染性心内膜炎や心臓腫瘍との鑑別が困難である。文献的考察を加え報告する。