The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(II)81(P81)
外科治療3

指定討論者:岡 徳彦(群馬県立小児医療センター 心臓血管外科)

[P81-5] Fallot四徴肺動脈弁欠損の治療経験4例

竹吉 大輔, 五十嵐 仁, 浅井 英嗣, 橘 剛 (神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科)

Keywords:TOF, absent pulmonary valve, 気管狭窄

【背景】Fallot四徴肺動脈弁欠損はFallot四徴症全体の3~5%を占める比較的まれな疾患である.肺血流が高流量で行き来する影響で右室,肺動脈幹,左右肺動脈は拡大する.特に肺動脈の拡大による呼吸障害が問題となる.【方法】北海道大学病院(2012.5~2018.7)および神奈川県立こども医療センター(2018.4~)にて手術加療した4例を後方視的に分析する.【結果】手術介入時期は日齢14~303であった.新生児期に治療介入を要したのは1例であり,PSがなく肺血流の制限がなされていない症例であった.心血管の合併奇形として左肺動脈起始異常2例あり,そのうち1例はPA slingを形成していた.その他の合併奇形は鎖肛・十二指腸閉鎖が1例,CHARGE症候群の多発奇形が1例であった.術前の検査ではRVEDV 143±23%N, LVEDV 102±14%N, RPA 230±71%N, LPA 182±2%N(起始異常を伴うものを除く)であった.術前に気道狭窄症状を呈したものが3例で、術後に気道狭窄症状が顕在化したものが1例あり全例で気道狭窄症状を呈していた。TOF ICRの際に気管外ステントを行ったのは2例,もう1例は術中に拡大した肺動脈の圧迫を解除することで気管狭窄も解除できると判断し気管外ステントを施行しなかった.しかし気管外ステントを施行しなかった2例は成長に伴い気道症状が顕在化しており,そのうち1例はreRVOTRを施行する際に気管外ステントを行った.右室流出路再建は全ての症例で京都府立医科大学作製のbulging sinus付き三弁ePTFE graftを使用した.【考察】Fallot四徴肺動脈弁欠損は心血管合併奇形としては左肺動脈起始異常があり注意を要する。手術時期に関しては気道狭窄・心不全・左肺動脈起始異常に伴う廃血流分布不均衡などの因子に依存し気管に対する介入を含め総合的な判断を要する。手術方法は全例にラステリ型根治術を施行し京都府立医科大学作製のbulging sinus付き三弁ePTFE graftを使用し良好な結果であった。