[P82-4] 左室rehabilitationのためcAVSDに対しpalliative ASD closureを先行した一例
Keywords:cAVSD, palliative ASD closure, LV rehabilitation
【背景】boarder line LVに対するLV rehabilitationとして心房中隔を部分閉鎖し、LVに容量負荷をかけることで成長を促す治療戦略が報告される中、AVSDに対して同様の治療戦略を行った報告は少ない。今回我々は、左側房室弁径に懸念のあるcAVSD、DORVに対しpalliative ASD closureを先行して行い、その後根治術に到達した一例を経験したので報告する。【症例】在胎40週、2980gで出生、cAVSD DORV PSと診断され、4か月時に心カテーテル検査を施行した。Qp/Qs=1.8、RpI=1.3、LVEDV 16.3ml (121.8% of N)、RVEDV 12.9ml(93.5% of N)であったが、エコーでは右側房室弁18.2mm(110% of N)、左側房室弁9.5mm(62.4% of N)であり左側房室弁が小さかった。また心房間は一次孔と二次孔ともに5mmずつ開存しており左右シャントであった。その状態で根治術を施行することでMS、左心不全を来す懸念があったためLV rehabilitationを目的にpalliative ASD closureを施行する方針とした。11ヶ月時にpalliative ASD closure、AVVPを施行、術中からLAPをモニタリングしながら管理を行ったがLAPは13-16 mmHg程度であった。術後経過は良好で経過し、1歳3か月時の新カテーテル検査を行った。Qp/Qs=2.1、RpI=1.7、LVEDV 42.3ml(224% of N)、RVEDV 24.6ml(126% of N)と左心系優位に成長を認め、エコーでも左側房室弁18.2mm(108% of N)、右側房室弁19.1mm(103% of N)となり左側房室弁径も成長を認めた。1歳5カ月時に2 patch repairによる心内修復術を施行した。術後LAP14-16mmHg程度で、心不全管理に時間を要したが術後1カ月で退院となった。【結語】左心系に懸念のあるcAVSDに対しpalliative ASD closureを施行しLV rehabilitationを行ったうえで根治術に到達した一例を経験した。unbalanced AVSDは治療選択に苦慮することも多いが、心房間の左右シャントが多い左室低形成に対し、palliative ASD closureは一つの選択肢になりうる。