[P82-5] c-AVSD 2-patch repairのパッチ形状のちょっとした工夫ーより自然な形態を目指してー
キーワード:完全型房室中隔欠損症, 2パッチ法, 工夫
【背景】術前に房室弁逆流が少ないc-AVSDの心内修復術は,その弁形態をそのまま維持してパッチを入れれば理論的には新たな逆流は生じない.弁尖のgeometryをなるべく変えず,弁尖のcoaptation depthを維持するべくパッチ形態を多少工夫してみたので,方法を供覧し結果を報告する.【方法】2-patch法で行い,心室パッチはPTFE 0.4mmを心房パッチは新鮮自己心膜を用いる.弁下のVSD形態に合わせて心室パッチjust sizeでtrimmingする.弁尖側は左側前尖と左側後尖が接合する部分に切れ込みを入れて両者のcoaptation zoneをその切れ込みにhorizontalに固定する.心室パッチはハート型に近い形態となる.【結果】ハート型パッチを使用した5例と同一術者が施行した直近連続5例(パッチの切れ込み以外は同一形態パッチ)を比較した.術前因子として月齢平均11±2対10±3ヶ月,体重平均6.6±0.6対6.1±0.6kg,TOF形態のc-AVSD3例対1例, Rastelli typeはA2例,C3例対A3例,C2例でいずれも有意差はなかった.術前房室弁逆流は全てmild以下で,術中因子としてはパッチの深さ(=crestの深さ)8.2±2.6対8.6±1.9mm,幅(弁輪間距離)13.0±1.5対14.8±1.0mm,cleft完全閉鎖5例対4例,右側房室弁形成stich数0.8±0.7対1.4±1.5針でいずれも有意差はなかった.形成後の右側弁口が96±10対80±5%Normal(P=0.016)と唯一有意差を認めた.術後最長8ヶ月の経過観察で,最終外来受診時のMR,TRは両群とも全例mild以下(両群ともmild MR1例,mild TR1例)で逆流に関して差を認めなかった.【結語】パッチに切れ込み入れることに明らかな結果の違いはなかった.唯一右側房室弁口が大きく確保できたが,症例数が少なく統計学的意義は乏しいが,右側房室弁のパッチ側形態が改善した術者感覚を裏付ける可能性はある.早期の成績は比較的良好であるが同等で,遠隔成績を検討していく必要がある.