[P83-1] 単心室循環初期姑息術としての3mm BT shuntの効果
Keywords:BT shunt, 単心室, フォンタン
【背景】単心室循環の初期姑息術では低い肺血管抵抗の維持、前負荷の軽減、房室弁閉鎖不全の予防は重要である。当院では正中切開による3mm BT shuntとPDAの調整を加えた治療戦略により前負荷の軽減に努めてきた。一方で少ない肺血流は十分な肺の成長を促せない危険性がある。【目的】単心室循環初期姑息術としての3mm shuntの中期効果を明らかにする。【対象と方法】2003年から2018年に出生した単心室循環症例のうち、HLHSおよび新生児重症Ebstein奇形を除いた241例について、3mm BT shunt症例(BT群)44例とそれ以外(O群)197例に分け、1グレン、フォンタン到達月齢 2フォンタン到達率 3カテーテル検査結果（グレン前、フォンタン前、フォンタン後１年）4房室弁への手術介入率について比較した。【結果】1グレン到達月齢はBT群2.6±0.4(mean±SE)、O群6. 9±0.6とBT群で有意に早く(p＜0.05)、フォンタン到達月齢はBT群19.8±0.9、O群22.1±1.0と両群で差を認めなかった。2フォンタン非到達率はBT群2年15.1±5.6％、3年2.5±2.5％、O群2年21.7±2.9％、3年8.9±2.1％とBT群で低い傾向にあったが有意差はなかった。3カテーテル検査ではグレン手術前SaO2(%)はBT群73.3±2.3：O群76.1±0.9、PA Index BT群212.4±17.4：O群275.1±10.2とBT群で有意にSaO2が低くPAIは小さかった(p＜0.05)。フォンタン手術前もPA IndexはBT群212.4±12.4：O群233.0±6.4と有意にBT群で低かった(P＜0.05)が、フォンタン後1年ではPA Indexに有意差を認めなかった。4房室弁への手術介入率はBT群1例(2.3%)、O群27例(13.7%)(p＜0.05)とBT群で有意に少なかった。【まとめ】3mm BT shuntは良好なフォンタン到達率をもたらすと同時に房室弁逆流への治療介入を有意に軽減する。前負荷軽減に伴う肺血流の低下のためグレン手術介入時期はその他の症例に比べ早期となり肺動脈はやや低形成だが、肺動脈はフォンタン後1年には同等に成長する。