第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(II)83(P83)
外科治療5

指定討論者:萩野 生男(千葉県こども病院)

[P83-2] 当院における機能的単心室症に対する体肺動脈短絡手術の治療成績

黒澤 博之1, 若松 大樹1, 佐戸川 弘之1, 桃井 伸緒2, 青柳 良倫2, 林 真理子2, 富田 陽一2 (1.福島県立医科大学医学部 心臓血管外科学講座, 2.福島県立医科大学医学部 小児科学講座)

キーワード:機能的単心室, シャント手術, 治療成績

【はじめに】体肺動脈短絡手術では左右肺動脈の均等な成長が重要と考え、より中枢側での吻合を行うことを目的に2010年以降胸骨正中切開アプローチを基本とし、分岐部狭窄はある程度許容し、必要時PTAやGlennまたはFontan型手術時にPA形成を追加することとしている。【対象と方法】対象は、2003年から2019年に、当院でシャント手術を施行した28例の機能的単心室(FSV)症例で、シャント手術後成績、肺動脈成長、心室機能や房室弁逆流への影響について検討した。【結果】疾患の内訳は、PAIVS 10, TA 1, Asplenia 6, Polysplenia 3, cTGA3, Ebstein 2、その他3、P弁は狭窄6、閉鎖22、房室弁はM15、T3、C8、M+T2であり、術前AVVRはnone 12, trivial 10, mild 5, moderate 1。シャント手術時日齢は中央値25日、体重3.2kg、アプローチは側開胸9、正中19、graft径は3mm 2, 3.5mm 7, 4mm 19、size/BW 1.2、中枢側はAAO 3、BCA 15、SCA 10、末梢側はmPA 6、branch PA 22、CPBを10例に使用、PA形成を2例、ASD拡大を3例、P弁切開を1例に併施。術後High flowを6例、graft閉塞を1例、再シャントを3例、早期死亡を4例に認めた。24例が月齢13ヶ月でBDGに到達(BDG到達率86%)、BDG前にPSに対するPTAを5例に施行、PA形成を5例、房室弁形成を2例に併施。20例が2.6歳でFontan型手術に到達、4例が待機(Fontan到達率74%)、遠隔死亡を1例認めた。EDVはBDG前、Fontan前、後で214、149、103%ofN(p=0.09)、EFはshunt前、BDG前、Fontan前、後で68、65、63、61%(p=0.58)、AVVR gradeは0.75、1.2、0.75、0.7(p=0.33)とshunt術に伴う容量負荷を認めるもBDG後は改善、心機能、弁機能とも温存され、PAIは182、302、259、265(p<0.01)、左右PA径比は0.86、0.78、0.75、0.81(p=0.67)と左右均等で十分な成長が得られていた。【結語】当院における機能的単心室症に対する治療成績は良好であり、シャント手術を含めた治療戦略は概ね妥当であると考えられた。