The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

外科治療

デジタルオーラル(II)85(P85)
外科治療7

指定討論者:落合 由恵(九州病院 心臓血管外科)

[P85-5] 術前に3Dモデルを作成し術式変更になった両大血管右室起始の治療経験

中西 啓介, 川崎 志保理, 天野 篤 (順天堂大学 医学部 心臓血管外科)

Keywords:両大血管右室起始, 3Dモデル, 心内修復

【はじめに】CT、MRIなどの精度、解像度が改善し術前診断における有用性が高まっている。さらに最近では、3Dプリンターを使用した3Dモデルを術前に作成する方法も登場してきた。今回治療方針に悩んだ症例で、術前3Dモデルによって術式変更に至った症例を経験したので報告する。【症例】症例は両大血管右室起始、肺動脈狭窄、肺動脈絞扼術後、グレン手術後の1歳男児。前回手術において、右室切開線より心内を観察し、primary interventricular foramen(p-IVF)が小さくさらに腱索付着位置などの関係からforamen拡大が困難であった。心内修復を断念し、肺動脈絞扼術、グレン手術を施行した。今回フォンタン手術前に行ったカテーテル検査、心臓超音波検査においてp-IVFが小さくない可能性があることが考えられた。そこで造影CTから得たデータを元に3Dモデルを作成し術式考案をするに至った。実際に出来上がったモデルを観察すると、前回p-IVFと考えたforamenが実はsecondary interventricular foramen (s-IVF)である可能性が示唆された。この所見を元に術中によく観察すると、やはり前回p-IVFと考えていた部分はs-IVFであると判断でき、パッチ閉鎖及び右室流出路再建の方針とした。肺動脈弁輪径が小さく、trans-annular patchになると考えたので、one and a half ventricular repairで心内修復を行ってきた。術後経過は良好であり第7病日に軽快退院となった。現在術後1年でも経過は良好である。【考察】診断方法、技術の向上が得られている現代においても術中診断・判断を余儀なくされる場面は多い。その中で3Dモデルにおける術前イメージングは、外科医にとってこれまで得る事が困難であった目の前での術中イメージングを手に取りながら行う事が出来る点で有用であろうと考えられた。【結語】3Dモデルを用いた術前診断・手術イメージングは、実臨床における有用性の可能性が示唆された。