[P87-4] 当院における冠動脈起始異常症に対する手術治療の急性期・遠隔期成績
Keywords:冠動脈起始異常症, 突然死, Unroofing
【目的】冠動脈起始異常症は突然死のリスクを有する疾患であるが、無症状で経過する例もあり、若年アスリートの突然死としても注目されている。今回当院で冠動脈起始異常症に対して手術介入した症例において急性期・遠隔期成績について後方視的に検討した。【対象】対象は2008年3月から2019年12月までに手術介入したAAOCA(Anomalous aortic origin of coronary artery ) 8名。【結果】左冠動脈右冠動脈洞起始が4名、左冠動脈無冠動脈洞起始が1名、右冠動脈左冠動脈洞起始が3名。男性が7名(88%)、手術年齢中央値は15歳(13-33歳)、診断のきっかけは運動時の意識消失/心肺停止が6名、労作時胸部症状が2名。術前心肺停止を来した例は6名で全例が運動時(LCA 5, RCA 1)。手術はUnroofingが7例(RPA translocationが3名)、off-pump CABGが1例。術中冠動脈所見でintramural 4名、intramural+extramural 4名、狭窄部は大動脈と主肺動脈間が4名、起始直後が1名。急性期死亡、観察期間中央値5.3年(3.4ヶ月-10.4年) での遠隔期死亡、冠動脈に対する再手術介入は認めず。術後半年後に電気生理学的検査でVTが誘発されICD挿入を1例施行。中央値で手術時間162分(140-224分)、人工心肺時間85分(56-112分)、大動脈遮断時間56分(31-77分)、術後人工呼吸器時間1日、ICU滞在期間1日、術後入院期間11日(8-22分)。術直後、術後3ヶ月の心肺運動負荷試験(CPX)では嫌気性代謝閾値 14.8ml/min/kg (75%)→19ml/min/kg(103%)、最大酸素摂取量27.1ml/min/kg(77%)→31ml/min/kg(95%)と改善し、術後の心筋シンチグラフィーでは全例で虚血は認めず。【考察】当院におけるAAOCAに対する周術期成績、遠隔期成績は受容できるものであった。基本術式はUnroofingと考えるが、RPA translocationの追加やCABGの選択に関しては今後症例を蓄積し検討する必要がある。術後運動耐容能の定量的な評価が難しいため、CPXなどで運動処方を決定していくことも有用と考える。