[P87-5] 当院における成人先天性心疾患に対する外科的不整脈治療の成績
Keywords:成人先天性心疾患, 不整脈, 外科治療
【背景】不整脈は成人先天性心疾患患者が直面する大きな問題である.先天性心疾患では疾患,術式で出現する不整脈が異なり,心房負荷や手術の切開線や瘢痕,経年変化によった徐脈性および頻脈性の不整脈を認める.当院では成人先天性心疾患手術に際して予後改善の目的で積極的に不整脈手術を併施している.【目的】今回我々が過去16年間で経験した心房性不整脈を合併する成人先天性心疾患患者への外科的不整脈治療の術式と成績について検討する.【方法】2003年9月から2019年9月に手術を行った成人先天性心疾患患者(16歳以上)のうち心房細動,心房粗動,上室性頻拍等の心房性不整脈に対する手術を併施した 36人を対象とし, 術後不整脈再発等の成績について後方視的に検討した.MazeはCox Maze IIIに準じてRFとCryoを併用して行った. 【結果】対象患者の主たる原疾患はASD,TOF,cTGAで51±17歳、男性36%である.このうち単独の不整脈治療を行った症例はなかった.不整脈手術術式はCox Maze 23例,RA Maze 2例,PVI 8例,RA Maze+PVI 3例で急性期死亡なし. 術後平均観察期間は50±38ヶ月(3~123ヶ月)であった. 術後30日間の洞調律を維持した症例は,全体で86.1%(31/36例).1例は人工心肺離脱時にCAVBを認めペースメーカ留置を行われ,その他4例で心房性不整脈を認めた.術後遠隔期の心房性不整脈非再発率は3年 80%,5年 80 %,8年 52 %であった.術後遠隔死亡は2例であり,死因は脳梗塞,低K血症に伴う心室細動であった.術後に心房頻拍を認めた2 例ではカテーテルアブレーション治療および薬物療法を行い,洞調律を維持している.【考察と結語】成人先天性心疾患患者に対して積極的に外科的不整脈治療を追加することによって,高確率で術後の洞調律を確認することができた.今後も長期的観察を継続し,術式の選択や手術介入時期について検討する必要がある.