第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

フォンタン循環

デジタルオーラル(II)90(P90)
フォンタン循環

指定討論者:新川 武史(東京女子医科大学 心臓血管外科)

[P90-1] Failed Fontan症例におけるFontan循環破綻の時期と血行動態の検討

金谷 知潤, 上野 高義, 奥田 直樹, 荒木 幹太, 渡邊 卓次, 富永 佑児, 久呉 洋介, 長谷川 然, 戸田 宏一, 倉谷 徹, 澤 芳樹 (大阪大学大学院医学系研究科 心臓血管外科学)

キーワード:Failed Fontan, 時期, 血行動態

【背景】Failed Fontanは予後不良な病態であるが、唯一の治療法は心移植である。しかし、日本においては長期待機期間中に、Fontan循環の破綻、他臓器障害の進行が懸念される。Failed Fontanとなれば移植は困難となるため、それ以前に移植の可能性を探索する必要があるが、Failed Fontanとなる理由や時期については明らかでない。そこで今回、Failed Fontanとなった理由や時期、その血行動態の詳細を検討したので報告する。【対象・方法】当院でこれまで行われたFontan手術症例のうち、Fontan循環の破綻(Failed Fontan)と定義された12症例を対象とした。Failed Fontanの定義は心関連死(術後早期死亡は除く)、PLE、胸腹水、肝機能障害(T-Bil>2.0mg)、腎機能障害(Cre>2.0 mg/dl)、チアノーゼ(5年以上HOTを要する)とした。年齢は34.9±13.8歳、Fontan手術からは25.3±8.3年経過していた。Fontan循環が破綻した時期やその前後でのカテーテル検査について検討した。【結果】Failed Fontanと診断された時期は術後17.7±7.7年であり、その理由は、死亡3例、PLEが4例、腹水貯留が5例、チアノーゼが2例、肝機能障害が1例、腎機能障害が2例であった(重複症例あり)。Failed Fontanの診断前後でのカテーテル検査の比較(フォローアップ期間: 16.1±7.2 vs 22.6±2.0年)ではEF、PVR、EDPの項目では有意な差を認めなかったが、CI 2.7±0.7 vs 1.9± 0.3 L/min/m2、CVP 12.8±3.2 vs 18.1±2.6 mmHgに有意な差を認めた(P<0.05)。【まとめ】Fontan術後20年前後でFailed Fontanとなるリスクが高まり、CIやCVPもその前後で変化することが示唆された。