[P90-2] Fontan循環破綻と共存する
キーワード:Failing Fontan , PLE , 成人先天性心疾患
【緒言】もはやFailing Fontanと向き合うことは避けて通れない時代となり、患者数や抱える問題は増加・多様化の一途をたどる.良いstrategyを模索することは重要だが一方、循環の破綻を余儀なくされたとき、どう患者と向き合うのか、医療者にとっても大きな問題となる.【方法】PLEを合併した成人Fontan患者3名の臨床経過・診療内容を後方視的に検討した.【症例1】39才女性.TA.Bjorkを経て19才TCPC conversion、26才でPLE発症.TP 3.5‐4, Alb 1.5‐2.3g/dlで経過.2017年よりPLE増悪し頻回入院.本人が試行錯誤の上、食事を控え良く動くと尿量が増加するなどの状況を見出した.現在外来で可能な集約的治療に加え、厳格な尿量・体重、生活コントロールで、2年以上入院を回避している.【症例2】23才男性.SRV.3才TCPC、4才でPLE発症.TP 3.1‐4.1, Alb 1.5‐2.3 g/dl、頻回に蛋白製剤の投与を繰り返した.18才以後10Kg以上の体重減少、高度るいそうを呈するようになり、TP/ALBの上昇と浮腫の改善をみた.20Kg前後の体重で低血圧・失神あり、摂食障害を強く疑ったが告知は得られず.年数回の旅行を励みに、同様の状況が続いた.20才で習慣性の嘔吐をカミングアウト後、生活習慣は穏やかに改善、現在運動療法、尿量・体重の厳格なコントロールで入院回避.【症例3】25才女性.TA.1才TCPC、18才でPLE発症.高卒後は飲食、介護のパートタイムワーカー.自己否定を背景に感情的に不安定で、嘔吐発作、過呼吸など頻回で精神科と協働診療中.情緒の安定にデータが左右され、TP 3.7‐7.5、Alb 1.8‐4.9 g/dlと変動が大きい.入院中のADL低下もデータ悪化の一因で不安定ながらも外来診療を継続中.【考察】Fontan循環が破綻した状況下では医学的サポートの他、生活コントロールや精神的ストレスからの回避も重要と考えられた.実際の臨床から学ぶことは多く、患者間での情報共有なども今後課題のひとつになると思われた.