[P90-3] フォンタン術後の左右肺動脈血流不均衡症例の検討
Keywords:Fontan, 肺血流シンチ, 肺動静脈瘻
【背景】Fontan型手術おいて、肝静脈血を左右肺に均等に流すことは遠隔期の肺動静脈瘻予防の観点から重要な要素の1つである。当院ではFontan術後の全例に肺血流シンチ(RI)を施行し評価してきた。【対象・方法】2015年5月(現行RIシステム変更)~2020年1月に心外導管型Fontan手術の63例にRIを施行した。RIは半量を下肢から、次に半量を上肢から静注し、優位肺を分子とした下肢からの左右肺血流比(iRI)と上下肢totalの左右肺血流比(tRI)を計測。上下肢一方のみ検査4例, 下大静脈欠損2例を除外し、全57例を対象。iRI<2をbalanced (B群), 2≦iRI<4をintermediate (I群), 4≦iRIをunbalanced (U群)とし比較検討。【結果】B群37例, RI時の年齢中央値7.4 (range 2.2-38.6, 以下同)歳, F術後3.7 (0.0-14.9)年, tRI 1.55 (1.03-3.44), iRI 1.46 (1.02-1.93)。I群14例, それぞれ7.3 (2.5-20.8)歳, 4.0 (0.0-15.7)年, tRI 1.43 (1.06-4.78), iRI 2.79 (2.05-3.78)。U群6例, それぞれ5.8 (3.7-14.0)歳, 2.4 (0.0-10.8)年, tRI 2.40 (1.28-5.85), iRI 5.29 (4.62-17.18)。B群をcontrolとしI群およびU群を比較し、Heterotaxia 10例 vs 4例(p=0.91) vs 0例(p=0.15)、両側上大静脈 9例 vs 3例(p=0.83) vs 2例(p=0.64), Apicocaval juxtaposition または上下大静脈逆位関係3例 vs 2例(p=0.51) vs 0例(p=0.47)。それぞれRIからのFollow-up 1.2 (0.0-4.5)年, 1.7 (0.0-4.0)年, 1.9 (0.1-3.7)年で、安静時SpO2 94.1±4.1%→94.1±3.5%, 93.1±5.3%→93.4±3.8% (p=0.73), 95.8±1.3%→92.7±4.5% (p=0.012)とU群で有意な低下。NYHA, 血清アルブミン, ビリルビン, 肝酵素, 血小板数に有意差なし。【考察】4≦iRI症例は中期遠隔期のQOLに差はないが、有意なdesaturationがあり、iRI<4症例では明らかなdesaturationはなかった。U群に特異的な解剖学的特徴はなかった。cutoff値と長期遠隔期の比較検討は必要である。