[P91-3] 積極的カテーテル治療によりRoss手術後右室流出路導管狭窄への再手術を回避した2例
キーワード:カテーテルインターベンション, Ross手術, 右室流出路
【はじめに】Ross手術は小児期大動脈弁狭窄症(AS)に対する自己弁置換の一つであり周術期死亡率(1-4.2%)と低いものの、遠隔期での高い再介入率(10年再介入率40%)が報告され、左室流出路のみならず右室流出路狭窄に対しても再介入が必要である。当院で実施したRoss手術9例中,右室流出路再狭窄を合併した2例に対して積極的カテーテル治療を行い再手術を回避できた症例を報告する.【症例1】生直後の心雑音から先天性重症AS兼逆流(AR)と診断した.幼児期よりAR増悪(IV度)を認めたので,5歳時,Ross手術(右室流出路導管径24mm)を実施した.しかし経年的右室圧上昇を認め,10歳時,右室圧58/10mmHg,導管内圧較差25mmHgであったため,超高耐圧バルーン拡大術(ダブルバルーン法:Conquest 12mm+12mm)を実施した.効果的右室圧減圧(Prv/Plv 0.48→0.27)を成し得たが,15歳時,右室圧再上昇を来し(右室圧72/12mmHg),トリプルバルーン法(Conquest 12mm+12mm+10mm)での再拡張による右室圧減圧に成功し(Prv/Plv 0.58→0.38)再手術を回避できた.【症例2】生後心雑音から先天性重症ASと診断し,新生児期心不全から生後24日に経皮的大動脈弁バルーン形成術を実施した.AS圧較差54→23mmHgとなったが,軽度ARを合併した.経年的AR進行から,4歳時,Ross手術(右室流出路導管径18mm)を実施した.しかし成長に伴い右室流出路導管狭窄が進行し,13歳時,右室圧64/12mmHg,導管内圧較差45mmHgであったため,超高耐圧バルーン拡大術(ダブルバルーン法:Conquest12mm)を実施した.効果的に右室圧減圧し(Prv/Plv 0.60→0.46),再手術を回避できた.【まとめ】Ross手術後右室流出路導管狭窄に対する超高耐圧バルーンを使用した積極的カテーテル治療により、再手術の時期を延長することが期待される。