[P91-4] 右室流出路再建後に合併する心室瘤形成
Keywords:心室瘤, 右室流出路再建, 術後合併症
[背景]人工物による右室流出路再建術(RVOTR)には後壁に自己組織を使用するTrans-annular patch(TAP)と人工導管を用いたRastelli手術がある. 術後早期に右室流出路(RVOT)心室瘤合併例がまれに存在し, なかには早期再介入を要する場合がある. [方法]2000年以降に当院でのRVOTR施行例を対象とし, さらに術後早期にRVOT心室瘤合併例を抽出し, 後方視的に診療録を調査した. 心室瘤の定義は, 人工パッチや導管で作成されるRVOT径より大きく, かつ奇異性運動を認めるものとした. [対象]RVOTR 519名のうち, ファロー四徴症(TOF)232名, 肺動脈閉鎖(PA)101名, 両大血管右室起始(DORV)73名が大多数を占める. RVOTR方法は, 人工導管17例, TAP242例, RVOT筋切除のみ160例. 術後早期にRVOT心室瘤合併例は12例(主疾患: PAVSD9例, DORV2例, TOF1例)であった. [結果]心室瘤合併例の初回RVOTRは人工導管7例(Contegra 5例, ePTFE弁付き導管2例), TAP5例であった. 心室瘤の出現時期は術直後-1.5年(中央値0.4年), 瘤の最大径は20.0-40.9mm(中央値29.6mm). 全例で右室圧高値, 末梢肺動脈狭窄を認めた. 末梢肺動脈狭窄例に対し, バルーン血管拡張術にて改善し早期再手術を回避できたのは3例, 緊急Hybrid分岐部ステント留置1例, 再手術8例(緊急1例, 待機7例)であった. 再手術時期はRVOTR術後0.1~6.1年(中央値0.7年). 緊急ステント留置例は, Rastelli直後にRVOT心室瘤を合併し, Contegra拡大も伴い両側末梢肺動脈の進行性狭窄を認めた. 術後2ヶ月に右心不全ショックを呈し, 緊急ECMO下でのHybridステント留置を施行したが, 重度神経学的後遺症が残った. 手術介入8例は, 導管交換, 心室瘤切除, 肺動脈瘤縫縮や形成術を施行され, 術後に改善を得られた. [結論]RVOTR後に巨大心室瘤を合併した場合は, 右室駆出効率低下, 末梢肺動脈狭窄, 重度肺動脈弁逆流, 気管圧排などが懸念される. 早期介入を逸さないことはもとより, 予防策が必要と思われる.