The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

外科治療遠隔成績

デジタルオーラル(II)92(P92)
外科治療遠隔成績2

指定討論者:芳村 直樹(富山大学医学部 第1外科)

[P92-1] 当院における未熟児動脈管開存症の外科的治療成績とその適応

鈴木 理大1, 城尾 邦彦1, 堀 愛莉花2, 中島 光一朗2, 西原 卓宏2, 八浪 浩一2, 中村 紳二2, 深江 宏治1, 塩瀬 明3 (1.熊本市民病院 小児心臓外科, 2.熊本市民病院 小児循環器内科, 3.九州大学病院 心臓血管外科)

Keywords:動脈管開存症, 未熟児, 手術適応

【背景】未熟児動脈管開存症(PDA)に対しての手術適応に関しては未だ一定した見解はない。当院ではインドメタシン抵抗性及び投与不能である症例を手術適応としている。【目的】当院における未熟児PDAの外科的治療成績と手術適応の妥当性の検討。【対象・方法】2010年1月から2019年12月の間に未熟児(在胎週数37週未満かつ出生体重2500g未満)PDAに対して結紮術を行なった34例の治療成績を後方視的に検討するとともに、出生体重が1000g以下の群(A群25例)とそれ以上の群(B群9例)に分けて比較検討した。【結果】在胎週数26.5±3.8週、出生体重917±477g、手術時日齢27±14日、手術時体重1037±454g、術前併存疾患は脳出血(IVH)7例、壊死性腸炎(NEC)2例、肺出血5例を認めた。術前インドメタシン投与症例は27例(79.4%)、インドメタシン投与回数は6.1±2.4回であり、非投与例7例の理由はIVH合併3例、NEC合併1例、クレアチニン値上昇1例、NEC risk 2例であった。手術は全例左側開胸で行い、手術時間57±8分、手術死亡はなく、術後合併症として創感染1例、嗄声1例、NEC1例、乳糜胸2例を認めた。A群/B群の患者背景としては出生体重683±165g/1564±463g、PDA径(2.3±0.5mm/3.3±0.9mm p<0.05)は有意差を認めたが、左房上行大動脈比(2.0±0.3/1.8±0.3)、インドメタシン投与回数(6.3±2.6回/5±1.4回)には有意差はなかった。手術時日齢は26±14日/27±14日、手術時間56±7分/59±9分であった。術後合併症においてNEC(0/1(11.1%))、創感染(1(4%)/0)、嗄声(1(4%)/0)、乳糜胸(1(4%)/1(11.1%))では両群に差は認めなかったが、退院時の慢性肺疾患(18(72%)/2(22.2%) p=0.017)と、未熟児網膜症(19(76%)/2(22.2%) p=0.013)はA群で有意に多く認めた。【結論】当院における未熟児PDAの外科的治療成績は良好であった。また出生体重が1000g以下の超低出生体重児においても良好な成績を得られており、当院の手術適応は妥当であると考えられた。