第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

外科治療遠隔成績

デジタルオーラル(II)92(P92)
外科治療遠隔成績2

指定討論者:芳村 直樹(富山大学医学部 第1外科)

[P92-3] 新生児及び乳児期装着の心臓ペースメーカーの遠隔期成績について

宮本 隆司1, 松代 卓也1, 大西 義彦1, 深町 直之3, 友保 貴博2, 林 秀憲2, 岡 徳彦2, 宮地 鑑1 (1.北里大学医学部 心臓血管外科, 2.群馬県立小児医療センター 心臓血管外科, 3.群馬県立小児医療センター 臨床工学科)

キーワード:ペースメーカー, 乳児早期ペーシング, 電池寿命

【目的】新生児期及び乳児期に装着されたペースメーカーの遠隔期成績については報告例が少ない。今回、1歳以下の心室ペーシング装着症例についてその遠隔期成績を調査したので報告する。【方法】北里大学心臓血管外科と群馬県立小児医療センターにおいて、1999年から2017年までに心室ペーシング(VVI又はDDD)を実施した14例について、年齢、性別、体重、手術適応、ペースメーカーの閾値、抵抗、電池交換期間、遠隔期合併症などを後方視的に調査した。【成績】男児5例、女児9例。適応疾患はcongenital AV block (n = 9), acquired AV-block (n = 4, 房室中隔欠損症術後2例、グレン術後2例) , AV block type Mobitz II (n = 1)で、装着時の平均年齢3.7±3.0ヶ月、平均体重3.9±1.3 kgであった。経過観察中止となった3例(装着後1年以内死亡2例/2年後心臓移植1例)を除いた11例の平均観察期間は111±62.1ヶ月(48~247ヶ月)であった。電池交換1回の8例(交換時の平均年齢58.3±32.0ヶ月と平均体重16.1±5.2 kg)の心室ペーシング閾値(V)とリード線抵抗値(Ω)の平均値を装着時と交換時で比較すると1.6±0.9 vs. 2.4±0.9 (V)、715±378 vs. 733±240 (Ω)で、交換時で閾値の上昇傾向が認められたが有意差はなかった。また、初回装着時年齢60日未満4例と60日以上7例においては、5年未満の電池交換率(100%, n=4 vs. 28.6 % n=2)が60日未満症例で有意に高率であった。【結論】1歳以下の心室ペーシング装着症例において、初回装着時年齢年齢60日未満症例での電池交換は5年未満の可能性が高率のため、注意深い経過観察が必要であると思われた。また、長期経過に伴う心室ペーシング閾値の上昇傾向が示唆されるため、頸静脈リードへの変更時期についても綿密な観察が必要であると推察された。