[P92-4] PA sling術後の気管成長に関する検討
キーワード:PA sling, 気管狭窄, 気管形成術
【対象と方法】2006年8月から2016年8月までに当院で施行したPA sling 7例を対象とした。全例PA slingによる気管狭窄とそれに伴う呼吸器症状を認めていたが、PA sling修復術に際して気管形成術を施行しなかった。術後の予後、気管の形態・成長について診療録を後方視的に参照し検討した。気管の形態については、CT上の気管内腔の最狭窄部径と狭窄率(正常部気管径–最狭窄部径/正常部気管径)を術前後で比較し評価を行った。【結果】手術時年齢・体重の中央値はそれぞれ8.7ヶ月(2ヶ月–16歳)、7.3 kg(3.3–45 kg)であった。フォローアップ期間の中央値は3年(0.2–9.2年)であった。2例で術前より呼吸挿管管理されていた。また5例で狭窄範囲が気管全長の50%以上に及ぶ広範囲型気管狭窄であった。気管軟骨輪、気管軟化症、右肺低形成の合併をそれぞれ2例で認めた。術前の気管の最狭窄部径、狭窄率の平均値はそれぞれ2.2 mm(1.5–2.8 mm), 61 %(51–79 %)であった。術後の気管最狭窄部径は2.2 mmから2.9 mmと有意な増加を認め (p = 0.02)、気管の狭窄率は61 %から26%と術後は改善を認めた (p < 0.01)。術後早期死亡はなく呼吸不全による遠隔死亡を1例で認めたが、生存例は全例術後の呼吸症状は改善を認めている。【結語】気管狭窄を伴うPA slingに対して気管形成術を併設しなかった気管狭窄の成長について検討した。PA sling修復と心内修復術のみで術後は気管狭窄部の成長と狭窄の改善を認め、臨床症状も改善した。重篤な気管狭窄を呈するPA slingでも、PA sling修復のみで気管狭窄が改善する可能性を示唆する結果であった。