[P93-2] 当院における修正大血管転位症に対する解剖学的修復術の中期成績
Keywords:修正大血管転位症, 解剖学的修復術, 機能的修復術
【背景・目的】修正大血管転位症に対する治療方針において、機能的修復術と解剖学的修復術では未だ議論があり、施設により治療方針に違いがあるのが現状である。当院では近年、積極的に解剖学的修復術の方針としており、その中期成績を検討した。【方法】1998年9月から2020年2月までの修正大血管転位症 50例のうち、解剖学的修復術を施行した23例を対象。手術時年齢中央値3.2(0.8-12)歳、手術時体重中央値11.9(7.76-38)kg。診断は、ccTGA 4例、ccTGA LVOTO 1例、ccTGA VSD 2例、ccTGA VSD LVOTO 9例、ccTGA VSD PA 7例、ccTGA iAVSD 1例。先行手術はPAB11例(高肺血流制御5例、左室トレーニング6例)、BTS 7例、BDG 2例、TVP 2例、Arch repair 1例。【結果】術式は、Senning Rastelli 4例、Senning Rastelli DKS 2例、Mustard Rastelli 2例、hemi-Mustard Rastelli 4例、hemi-Senning Rastelli 2例、hemi-Senning Aortic translocation 1例、Senning ASO 8例。平均人工心肺時間 310±52.7分、平均大動脈遮断時間 167±30.8分。病院死亡なし。遠隔期死亡3例(初期の症例、全てSenning Rastelli)。原因はDCMによる心不全1例(術後6.4年)、突然死1例(術後10.3年)、敗血症1例(術後7ヶ月)。術後生存率は1年94%、5年94%、10年82%。平均観察期間5.1±3.9 年。全例NYHA I、直近のBNP 56.7±51.8。再手術はPMI 4例、re-RVOTR 2例、PVO release 1例、catheter ablation 1例。エコーでは心収縮良好18例、軽度低下2例であり、肺静脈通路、体静脈通路ともに狭窄は認めなかった。【考察・結論】当院における修正大血管転位症に対する解剖学的修復術の中期成績は良好であった。手術侵襲は大きいが、解剖学的左室を体心室とすることで機能的修復術よりも優れている可能性がある。ただし、左室トレーニング後の症例では遠隔期左室機能不全の可能性が、Rastelli症例では再手術の可能性があり、今後も注意深い経過観察が必要である。