[P93-4] 無脾症候群患者の房室弁逆流に対する弁形成術の長期成績
Keywords:無脾症候群, 弁形成, 長期成績
無脾症候群患者の房室弁逆流に対する弁形成術の長期成績【背景】無脾症候群患者において房室弁逆流はしばしば心不全の要因となる。無脾症候群患者の房室弁形成術の長期成績を評価することは、よりよい房室弁形成の方法を考えるうえで重要である。【目的】我々は最近20年の無脾症候群患者の単一施設での長期成績をまとめ、評価した。【方法】岡山大学で2000年から2009年の間に房室弁形成術をうけた無脾症候群患者の手術記録、検査データを抽出し解析した。【結果】2000年から2009年の10年間で無脾症候群の患者75例に手術を行い、そのうち19例(25%)に房室弁形成術を行った。この房室弁形成を行った19例のうち6例(31%)には総肺静脈還流異常症の合併を認めた。弁形態は5例が三尖弁、14例が共通房室弁であった。追跡期間の中央値は145ヶ月、初回房室弁形成の年齢の中央値は14ヶ月であった。弁形成を行った患者の死亡率は21%(4/19)、弁への再介入回避率は63%(12/19)であったのに対し、弁形成を行わなかった56例の死亡率は26%(15/56)であった。弁形成を行った症例の生存率は79%(14/19)であった。弁形成の方法は、弁尖への介入では二弁口化(6例)、クローバーテクニック(1)、交連閉鎖(3)、クレフト閉鎖(2)、片側弁口閉鎖(2)であった。弁輪への介入として部分的な弁輪形成を12例(63%)に行った。【結論】房室弁形成を行った無脾症候群の患者群の治療成績は良好とはいえないが、弁形成を行わなかった患者群の死亡率と同等であった。