[TRO01-1] 左心低形成症候群患児の移行期支援の一例
Keywords:左心低形成症候群, 移行期支援, 移行期チェックリスト
【背景】ACHD患者の増加に伴い、移行期医療の重要性が増している。A病院では、移行期ACHD外来が開設され、移行期医療の体制は整い始めている。各医師によって移行期支援がなされているが、看護師からの支援は不十分である中、母親が移行期支援の視点を持って患児に関わっている症例を経験したため提示する。【目的】重症CHD患者の今後の移行期支援の示唆を得るため、本症例の患児に対する移行期支援についてまとめ報告する。【対象】6歳の左心低形成症候群の患者。Fontan手術を実施。20XY年春より普通学校の支援学級に入学。【倫理的配慮】患者家族へ、研究の参加、同意の撤回は自由であること、研究不参加による治療の不利益は生じないことを説明し同意を得た。A病院倫理審査委員会の承認を得ている。【方法】移行期支援に関する情報を母親から聞き取り、過去の診療記録からデータを抽出した。【結果】患児は発達遅滞があり、自分が理解できないと質問を何度も繰り返したり、泣き詰めてチアノーゼが増強していた。母親が独自に、身体的症状、内服薬、治療の必要性を掲載した絵本を作成し、児は楽しみながら、自己の特徴を認識していた。検査や手術の前には本人が分かる言葉で理解させており、Fontan手術に関しては「酸素をなくして心臓さんを元気にするために手術を頑張る」と認識していた。【考察】健康管理の主体を患者自身に移すために、子ども自身への説明は、子どもが一定の年齢に達するのを待って行うのではなく、初めて受診をした時から、その年齢と理解度に応じて行っていくことがより望ましいと言われている。看護師が、患児の性格や状態をよく知る母親の思いや価値観、取り組みを尊重し、本人の理解度を確認しながら、サポートしていくことが重要である。今後は、移行期チェックリストの導入を行い、看護師からの支援を充実させ、多職種で患児の移行期支援について共有、連携していく必要がある。