[TRO01-3] 先天性心疾患患者における成人移行期支援の効果
Keywords:先天性心疾患, 成人移行, 移行期支援
【目的】移行期支援の効果と患者の思いを知ることにより今後の課題を明らかにする。【方法】移行期支援を受けた複雑心奇形の患者へ《病気・治療に関する知識》《体調不良時の対応》《医療者とのコミュニケーション》《自立した受診・セルフケア行動》など6カテゴリー21項目と、移行期支援の開始時期や移行後困ったことなど5項目について質問紙調査を実施した。【結果】回答を「あてはまる(4点)」「ややあてはまる(3点)」「あまりあてはまらない(2点)」「あてはまらない(1点)」として計算し支援前と比較した。平均年齢は19.2歳、質問紙の平均得点は支援前54.7±9.2、支援後62.7±8.4であった。平均得点が最も高かったのは〈外来予約の時期を把握し、忘れないための工夫ができる〉で、平均得点が最も低かったのは〈妊娠・出産・性の問題について相談したことがある〉であった。支援後に得点が上昇した項目は、〈外来予約の方法を知っている〉〈処方箋の期限や、期限が過ぎた時の対応を知っている〉など《自立した受診・セルフケア行動》の項目で多く、《病気・治療に関する知識》は微増だった。《日常生活で気をつけていること》として怠薬しない、体調管理をするという回答があった。《移行して困ったこと》として医師が変わる不安が挙げられた。【考察・結論】《自立した受診・セルフケア行動》の項目で得点が上昇したのは、移行期支援により自己管理への動機づけがなされた結果と考えられる。《病気・治療に関する知識》の得点は微増であり、十分な理解を得るためには外来診察の時間だけでは足りないことが示唆された。患者の発達段階に応じて繰り返し説明することで、確かな知識と理解が得られると考える。さらに、いずれは成人期医療施設への移行が必要となってくることと、その理由も含めて早い段階から説明することで、患者、家族ともに今後の見通しを立てられると考える。