The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

デジタルオーラル多領域専門職部門(I)02(TRO02)

指定討論者:辻尾 有利子(京都府立医科大学附属病院)

[TRO02-2] Fontan術後患者の言語発達と経管栄養の関連

澁井 香葉子, 相原 慎, 小野 晋, 尾方 綾, 柳 貞光, 上田 秀明, 岩佐 美可 (神奈川県立こども医療センター)

Keywords:Fontan術後, 言語発達, 経管栄養

【背景】Fontan術後患者の長期生存に伴う成人医療への移行にあたり、心理社会的発達に関心が高まっている。幼児期の言語発達の遅れに手術時期が関係していることが明らかとなっているが、この時期は心負荷の軽減、誤嚥予防等のため経管栄養を行う場合が多い。経管栄養により口腔機能を十分に使うことなく過ごすことが、言語発達に影響を与える要因の一つと考えた。【目的】Fontan術後患者の言語発達に影響を与えると考えられる経管栄養を含むいくつかの身体的要因を変数に統計的に分析し、経管栄養の影響を明らかにする。【方法】2012年1月~2017年6月に出生し、当院でFontan手術をうけた患者のうち、3~4歳時に新版K式発達検査を行った43例を対象とした。新版K式発達検査の「言語・社会」のDQ、「経管栄養を使用した日数」、「出生体重」、「Fontan手術を受けた月齢」、「ICU滞在総日数」、心不全の程度としてFontan術後1年後の「中心静脈圧値」を診療録から抽出し、相関をみた。【結果】「言語・社会」のDQを従属変数として重回帰分析を行った結果、「言語・社会」に対する有意確率は、「経管栄養を使用した日数」が0.245、「出生体重」は0.366、「CVP値」は0.200であった。一方、「Fontan手術を受けた月齢」は0.003、「ICU滞在日数」は0.001と強い負の相関を認めた。今回の分析に使用したデータのモデルの調整済みR2乗値は0.367であった。【結論】経管栄養や心不全の程度等の身体的状態が言語発達に直接影響しているとは考えにくいことが明らかになった。一方で手術時期やICU滞在期間が言語発達に影響していることが示唆された。身体的な視点で検討した項目であったが、これらに含まれる意味を改めて検討する必要があると考える。また、言語発達の遅れは就学までにキャッチアップするという報告があり、キャッチアップの過程に影響する要因も明らかにし、周術期以降の看護に活かしていきたい。