The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

デジタルオーラル多領域専門職部門(I)02(TRO02)

指定討論者:辻尾 有利子(京都府立医科大学附属病院)

[TRO02-3] 子どもが主体的に心臓カテーテル検査を受けるための参加型プレパレーションの実施

坪倉 綾奈, 服部 佳世子, 樋口 靖子, 井林 寿恵 (京都府立医科大学 小児医療センター)

Keywords:心臓カテーテル検査, 先天性心疾患, プレパレーション


【はじめに】当病棟は小児循環器の内科・外科病棟であり、先天性心疾患の子どもが多く入院している。心臓カテーテル検査は侵襲を伴う検査だが、クリニカルパスを使用し短期入院であることから若手の看護師が担当することが多い。
【目的】子どもが主体的に検査に取り組めるよう参加型の説明絵本、シール台紙を保育士と作成しプレパレーションを行った結果、子どもの検査や処置の受け入れにどう影響したか看護師の視点で振り返る。
【方法】絵本は子どもが主治医、担当看護師の写真を選んで貼れるようにし、検査室への行き方を自分で選ぶなどして一緒に完成できるものとした。退院までの検査や処置の流れをひと繋ぎにしたシール台紙を作成し、子どもが乗り越える内容を明確にした。更に検査前後の気持ちを子どもに絵やシールで表現できる欄を作った。プレパレーションの勉強会を行い理解した看護師により3例使用し、その結果について看護師間で振り返りの場を設け意見交換を行った。本人の同意と看護部承認を得た。
【結果】看護師から「子どもが絵本に興味を持ち主体的に説明を聞くことができた」「処置が終わる度にシールを一緒に貼ることで子どもの頑張りを共有・肯定できた」「完成したシール台紙を家族に見せて達成感を感じている発言があった」「今後の予定が分かることで治療に対する拒否が減った」などの意見があった。
【考察】参加型の説明媒体を使用することで子どもの主体性を引き出す援助に繋がった。また、子どもの自己肯定感を高めることができ、次の検査に前向きに参加できる姿勢を持つことに繋がったと考える。先天性心疾患の子どもは生涯に渡り治療、経過観察、セルフケアの継続が必要な場合が多い。発達、理解度に合わせた参加型のプレパレーションを幼少期から継続して行うことで自分なりの意思表明をする習慣が身につき、治療方針や検査に関する説明を聞くことで自己の疾患を理解できると考える。