第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

デジタルオーラル多領域専門職部門(I)02(TRO02)

指定討論者:辻尾 有利子(京都府立医科大学附属病院)

[TRO02-5] 保育施設の心疾患児の健康管理・心事故予防対策-施設管理者への面接調査から-

久保 恭子1, 鮎沢 衛2, 及川 裕子3 (1.東京医療保健大学 立川看護学部 看護学科, 2.日本大学 医学部, 3.国際医療福祉大学 看護学部 看護学科)

キーワード:保育園, 心疾患児, 心事故

【背景】2008年~2013年の保育施設における園児の突然死事例は26件であり、突然死の原因のひとつに心疾患がある。学齢児では心臓検診が義務づけられ、また、教職員の心肺蘇生法の研修の普及により心事故数は劇的に減少した。一方、保育施設に通う乳幼児には心臓検診の機会がなく、保育職員らの心肺蘇生法の研修も十分ではない。【目的】保育施設の心疾患児の健康管理・心事故予防対策を明らかにし、今後の保育施設における心事故予防に向けた対策を考える資料とする。【方法】2018年6~2019年2月、保育施設長8名に面接調査を行い、KJ法を参考に分析した。倫理的配慮は所属する機関の倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】面接協力者は30代から60代、男性1名、女性7名であった。心疾患児の入園は【特別な配慮がいらない心疾患児】であれば可能であり、【親が児の健康管理を実施】していた。心事故予防対応はSIDS予防対応に準じて、児の【呼吸状態の確認】を行っており、このことは「保育士の神経が磨り減るほど大変」と【保育士の負担】となっていた。心肺蘇生法の研修では【研修の時間が十分に取れない】【研修予算が限られている】【実際に重大事故がおきる想像ができない】という意見があった。【考察】 地域の保育園に通う心疾患児の健康管理は母親が行い、特に施設に問題は生じていない。現在実施している心事故予防を含めたSIDS予防対策は保育士の負担となっており、今後、より負担の軽い対応策を検討する余地がある。保育士らは心事故などの重大事故が起きる可能性は理解していても事故が生じたときの状況のイメージ化はなく、今後、恐怖を与えるのではなく、実際に事故が起きた際の状況の理解と対応についての説明が必要である。【結論】保育施設に通う心疾患児の健康管理は母親が行っており、心事故予防対策はSIDS対策に準じていた。