[TRP1-1] 胎児心臓病と診断され、出生後にダウン症候群が判明した母親への支援
Keywords:胎児心臓病, 新生児, 家族ケア
【はじめに】母親にとって障がい児を持つということは「健常な子ども」と「その子を育てる自分」という2つの対象を失う喪失体験と言われている。喪失体験を受容する過程は一様ではなく、対象に合わせた受容の促進要因を考慮し、多職種で支援することが重要である。【事例紹介】A氏、39歳。妊娠31週で胎児心構築異常を指摘され、当院に紹介受診となった。大動脈縮窄症と診断され、医師や助産師、小児看護専門看護師が継続的に支援し、受容に至った。妊娠40週0日でBちゃんを出産。新生児期の外科的治療は不要と判断され、退院の方針となったが、新たにダウン症候群の診断を受けた。日齢7に母子同室となったが、慣れない環境や初めての育児、また哺乳量も増加せずA氏の不安は増強。加えてBちゃんと他患児を比較し、治ることのない障がいに対する自責の念が増強、予後を悲嘆するようになった。【看護の実践結果】A氏が不安に感じている内容を明確にし、特に不安を感じていた哺乳に対して介入。A氏の休息時間を確保しながら、授乳方法を指導した。その結果、哺乳量が増え、A氏は母親としての役割や自信を持つことができた。また、妊娠期より支援している小児看護専門看護師に、予後を悲嘆したA氏との面談を依頼。面談後に地域との早期連携等の支援方法の助言を得て、多職種で情報共有し、A氏のニーズに応じた介入を協働で行った。肺高血圧に対し在宅酸素を導入となったが、受容し退院を迎えることができた。現在、葛藤する様子もあるが、徐々に前向きになってきたとA氏自身も実感しており「産んで良かった」との発言が聞かれるようになった。【考察】特に不安の強かった哺乳に対して介入し、支援したことで、A氏がBちゃんの障がいを受容するための契機になったと考える。小児科看護師は、妊娠期からの経過を知り、母親が何を求め、どのような支援を必要としているかを見極め、多職種と協働していく必要がある。