[TRP1-2] 胎児診断された先天性心疾患児の家族が意思決定を経て退院に至るまでの支援~危機的状況に陥った家族を支えた看護は何か~
キーワード:家族支援, 意思決定, 胎児診断
【背景・目的】胎児診断を受けた先天性心疾患児の家族は、こどもとの関係確立前に治療選択に直面することがある。今回、母の精神状態が悪化し、危機的状況に陥った家族の支援を経験した。治療により転棟を繰り返す中で、家族を支えた看護は何かを明らかにするために研究を行った。【方法】電子カルテから後方視的に家族支援に関わる記録を抽出し、研究者間で検討を重ねカテゴリー化した。【倫理的配慮】院内倫理委員会の承認を得た。両親へ口頭と紙面で説明し同意を得た。【結果・考察】3期に分けて検討し、抽出されたカテゴリーは以下である。 胎児診断から積極的治療を決断するまでの時期:「見えない不安のイメージをつける」「苦しんでいる気持ちに寄り添う」「家族が医療者と一緒に考えていける関係を作る」「専門看護師を中心に医療チームでサポート体制を作る」「親子としての時間を作る」。母の精神状態悪化により家族が危機的状況に陥った時期:「専門職と協力しながら病棟間で情報共有を行い、支援体制を整える」「母の精神状態に配慮し、見守る」「親子の状態に応じて無理のない範囲で母役割が取れるようにする」「母を支えている家族を支援する」「こどもの安全を守る」。家族としての意思決定を経て退院に至った時期:「母が穏やかに育児できる環境を整え見守る」「母を取り巻く家族の苦労や気持ちを受け止める」「将来への強い不安を抱える母と、母を支えていきたい父が共に意思決定できるよう支援する」「それぞれの医療スタッフが役割を意識して関わる」。以上より、母をはじめ、父や祖父母を含めた家族全体に対し、それぞれの苦しみや困難に寄り添った意思決定支援が行われたと考える。また、日常的な育児など家族としての時間も大切にされていた。 【結論】家族の状況変化や治療経過に伴うニーズに合わせ、多職種で連携し、家族全体への支援と、家族の時間を大切にした看護が行なわれていた。