[TRP3-3] 小児心臓移植後急性期における家族への看護支援‐家族アセスメントツールを用いた心理面への支援に焦点を当てて‐
Keywords:心臓移植, 小児, 家族看護
【背景】ICUでは成人患者家族のアセスメントにCNS-FACEIIを用いて支援することがあるが,小児患者家族への有効なツールの報告はない. 【目的】小児心臓移植後急性期の家族へ,アセスメントツールを参考に行った心理的支援について考察する.【方法】既存の記録を用いた事例研究.【倫理的配慮】対象者に研究の趣旨や協力の任意性,個人情報の保護に関して文書と口頭にて説明を行い,同意を得た. 【看護の実際】母親の問題志向型コーピング,情報,接近,保証のニードが高値で推移したが,ICU入室2日目までの接近のニードはやや低値であった.移植後の環境や医療者の出入りが接近のニードへ影響を与えた可能性があると考え,面会時は環境を整え,家族のケア参加を調整した.また,児の治療イベントや状態変化に応じて情報,保証のニードが高くなったと予測し,病状説明の調整や家族不在時の児の様子を伝えることで,ニードの充足に努めた. 介入前後での評価に変化はなかったが,介入後,母親から安堵の表情や言動がみられた.【考察】アセスメントツールを参考に母親の心理を捉え,看護支援へ繋げた結果,家族の反応から適切な介入ができていたと考えられた.本事例では,心臓移植直後から問題志向型コーピングが優位であったため,転棟を見据えた支援として,家族ニーズに応じて病棟看護師と協働して家族教育や支援を検討する必要があったと振り返る.また,表面化しないニードを予測し,支援を検討する必要もある.アセスメントツール等も参考に,家族の状況を適切に捉え,それに合った看護支援を行うことが大切であることが分かったが,ツールを過信せずに個別性を持ってアセスメントすることも重要であると考える. 【結論】本事例では,アセスメントツールを用いた家族の心理的支援は効果的であった.