The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

多領域(リハビリ)

デジタルオーラル多領域専門職部門(II)05(TRP05)
多領域(リハビリ)

指定討論者:鎌田 将星(国立循環器病センター 循環器病リハビリテーション部)

[TRP5-1] 小児用体外式補助人工心臓(Berlin Heart EXCOR Pediatric)装着下でのリハビリテーションの経験

五十嵐 悠華1, 高木 敏之1, 近田 光明1, 戸田 紘一2, 牧田 茂3, 枡岡 歩2 (1.埼玉医科大学国際医療センター リハビリテーションセンター, 2.埼玉医科大学国際医療センター 重症心不全・心臓移植センター, 3.埼玉医科大学国際医療センター 心臓リハビリテーション科)

Keywords:小児用体外式補助人工心臓, リハビリテーション, 発達

【背景】小児用体外式補助人工心臓(Berlin Heart EXCOR Pediatric:EXCOR)が保険償還されて以降、小児重症心不全患者における心臓移植までの長期待機が可能な手段が確立した。しかし、EXCOR装着下でのリハビリテーション(以下リハ)の実施および発達についての報告は少ない。そこで、EXCOR装着後に良好な発達の経過を辿った患児のリハを経験したため報告する。【症例紹介】在胎40週2日、3116gで出生した女児。日齢42日に頻呼吸、哺乳不良を認め他院入院。左室心筋緻密化障害と診断、抗心不全治療で改善せず日齢56日にEXCOR装着目的に当院へ転院。月齢2ヶ月時にEXCOR装着(10ml pump)となった。転院時はLVEF:36.7%、BNP:5522.8pg/mlであった。【リハ経過】EXCOR装着術後29日目から理学療法を開始。介入当初は月齢3ヶ月で未定頚であったため背臥位や側臥位のポジショニングに加え抱っこなどでの抗重力筋の発達を促す事から始めた。術後107日から腹臥位練習を開始し、月齢6ヶ月で定頚、月齢6.5ヶ月で寝返りを獲得。その後は座位練習などを通して体幹コントロール能力向上を図るとともに、専用のクッションチェアを作成した。また、病室以外でのリハを取り入れ環境への順応を図った。【結果】暦年齢9ヶ月でKIDSによる発達検査を実施。運動6ヶ月、操作8ヶ月、理解言語9ヶ月、表出言語7ヶ月、対成人社会性7ヶ月、食事7ヶ月であり総合発達年齢は8ヶ月となった。【考察】術後約1ヶ月の臥床期間があったことが運動発達の遅延に影響を及ぼしたと考えられる。また、EXCOR装着による身体的制限、活動範囲の制限があったことも一因と考えられるが、バイタルサインや他覚所見に加えpump fillingを確認しながら、安全を担保しつつ発達段階に応じた遊びや運動を行うことで総合的な発達促通に繋がったと考える。EXCOR装着患者において、家族を含め医療スタッフ全体で安全な環境の設定、運動機会の増加に向けて取り組むことが重要である。