[TRP5-3] 小児用体外式補助人工心臓装着患者に対する安全な座位獲得を目的としたクッションチェア作成の経験
キーワード:小児用体外式補助人工心臓, リハビリテーション, 座位保持装置
【背景】小児用体外式補助人工心臓EXCOR(Berlin Heart社製)を装着した乳児例では体格が小さく、平面状での座位練習ではドライブラインが屈曲してしまうため、効果的な座位のリハビリテーション(以下リハ)が難しい。当院ではEXCORを装着した乳児へ安全な座位を獲得する目的で専用椅子(クッションチェア)を作成した。この専用椅子作成経緯とその後の経過について報告する。【患者紹介】症例は0歳11ヶ月の女児。出生後は通常通り自宅退院。日齢42日に頻呼吸、哺乳不良があり近医へ受診。左室緻密化障害の診断となり、抗心不全治療で改善せず、日齢56日にEXCOR装着目的に当院へ転院し月齢2ヶ月時にEXCOR装着(10ml pump)。転院時のLVEFは36.7%、BNPは5522.8pg/ml。【リハ経過】術後29病日目から理学療法を開始した。月齢約6ヶ月で定頸、月齢6.5ヶ月で寝返りを獲得。本症例では腹部にポンプ及び送脱血管があるために、正常運動発達で必要な腹臥位をとることが困難であった。そこで腹臥位を回避し、座位ベースでの運動発達促通をメインにリハ介入する方針となったが、ドライブライン屈曲の問題により市販椅子での座位練習は困難であった。公的補助などの社会資源の利用が出来ず、業者から無償で寄贈して頂いたウレタン材などの端材をつなぎ合わせ、療法士自身が工場へ出向き、本患児専用の椅子を作成した。【考察】本症例は生後2ヶ月で小児用体外式補助人工心臓を装着しており、ポンプ装着による活動の制限に加え周術期の廃用による運動発達遅延を認めていた。患児の成長とともに座位ベースでの運動発達が望まれ、それに伴い専用椅子を作成した。業者の好意と療法士自身が専用椅子を作成することで、作成費用を抑えることができた。また患児の体格に合わせて座面の高さや広さ、ポンプの走行に合わせた座面の切り抜き、背もたれや肘掛の高さを創意工夫することで、安全性が確保された環境での座位保持が可能であった。