The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

多領域(リハビリ)

デジタルオーラル多領域専門職部門(II)05(TRP05)
多領域(リハビリ)

指定討論者:鎌田 将星(国立循環器病センター 循環器病リハビリテーション部)

[TRP5-5] 先天性心疾患術後の歩行再獲得に向けたリハビリテーション-フォンタン術後とファロー四徴症術後の比較‐

長谷場 純仁1, 井本 浩2, 上野 健太郎3 (1.鹿児島大学病院 リハビリテーション部, 2.鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 心臓血管外科・消化器外科学, 3.鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 小児科学)

Keywords:先天性心疾患, リハビリテーション, 歩行

【背景と目的】先天性心疾患児の術後急性期リハビリテーション(以下、リハ)において、我々は独自に粗大運動能力の9段階評価システムを開発し、mobility gradeに応じた段階的な運動療法プログラムを実施している。しかし、術前に歩行可能であっても術後の歩行能力の回復に時間を要することが少なくない。今回、フォンタン術後(フォンタン群)とファロー四徴症による心内修復術後(ファロー群)の患児における歩行能力の回復について調査し比較検討を行った。【方法】対象は術前に歩行が可能で、術後リハ介入されたフォンタン群10例とファロー群9例。術後端座位保持および歩行自立となるまでの期間と術前、術中、術後における各因子およびリハの内容について後方視的に調査した。【結果】入院期間中に端座位は全例で自立となり、歩行が自立したのはフォンタン群の9例とファロー群の7例で、術後歩行自立までの期間について2群間に有意差が認められた(フォンタン群25[22-29]日vs ファロー群15[11.5-16.5]日、p<0.01)。また、日齢、術後入院期間、ICU在室期間において、フォンタン群が有意に長かった(p<0.05)。ICUからリハ開始されたのはフォンタン群6例、ファロー群2例で、リハ内容は運動療法が全例で実施され、呼吸理学療法がフォンタン群9例、ファロー群4例で実施されていた。【考察】フォンタン群の歩行の再獲得はファロー群よりも長期間要することが示されたが、原因として、フォンタン循環に体が慣れるのに時間を要することや、元々の運動耐容能や筋力の低さに加えて、術後の活動性の低下による廃用症候群や、術後の呼吸状態の改善の遅延の影響などが考えられた。患児の運動能力の早期回復のためには、術後早期からの親への指導も含めた積極的なリハが重要であり、さらには継続的に退院後の長期的フォローも必要と考えられる。