第57回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

招請講演

招請講演01(I-IL01)

2021年7月9日(金) 13:30 〜 14:20 Track1 (現地会場)

座長:山岸 敬幸(慶應義塾大学医学部 小児科)

[I-IL01] 生体イメージングによる循環臓器発生機構の解明

望月 直樹, 千葉 綾乃, 福井 一, 福本 萌, 中嶋 洋行 (国立循環器病研究センター 研究所 細胞生物学部)

キーワード:生体イメージング, ゼブラフィッシュ, 発生

個体発生の際の諸臓器形成には、酸素化が老廃物のクリアランスが不可欠となるために循環臓器(心臓・脈管系)の発生が先行する。心臓・脈管形成時には頭尾軸、背腹軸、左右軸に従った臓器組織の前駆細胞の配置と同細胞の増殖・分化・遊走による臓器形成が必要である。これらの過程を調節する情報伝達の経時的な変化による繊細な制御により臓器形成が完了する。 哺乳類では、両側の中胚葉由来の心筋細胞前駆細胞が一次心臓領域、二次心臓領域細胞に分化しさらに心室筋・心房筋・刺激伝導系心筋細胞に成熟することで心筋が成熟する。この初期の配置には、左右軸決定が先行する。また、特に房室間の心筋細胞は弁形成や刺激伝導系形成にも関わることから、特殊な情報伝達を制御する心筋細胞と考えられる。 心臓内の内皮細胞は新内膜内皮細胞として血流にさらされており、またこの心内膜内皮細胞と流入路(大静脈)と流出路(大動脈)が接着することで全身循環が成立する。心内膜内皮細胞は、心筋層を貫通して冠血管形成にも関わることが明らかにされている。 本講演では、左右軸決定機構、心房形成におけるHippoシグナルの重要性、心内膜内皮細胞の心臓形成における役割を生体蛍光イメージングで明らかにしてきたことを紹介する。本研究では、ゼブラフィッシュ胚をイメージングの対象として、如何にして循環臓器が形成されるかを形態(心筋細胞・内皮細胞)と情報伝達(転写制御)を同時に可視化することで検討してきた結果を発表する。