The 57th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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宮田賞受賞講演

宮田賞受賞講演(I-MPL)

Fri. Jul 9, 2021 9:55 AM - 10:30 AM Track1 (現地会場)

座長:平松 祐司(筑波大学 心臓血管外科)

[I-MPL-2] Identification of genetic background associated with left ventricular reverse remodeling in infantile dilated cardiomyopathy

石田 秀和 (大阪大学大学院 医学系研究科 小児科)

Keywords:拡張型心筋症, 補助人工心臓, 全エクソン解析

(背景と目的)近年、小児用補助人工心臓EXCOR Pediatricがわが国でも利用可能となったが、依然小児ドナーは少なく、長期間にわたる移植待機を余儀なくされる。しかし、特に乳児DCMの中で、装着後数カ月から1年で著しく心機能が回復し、EXCORを離脱できる症例が一定数存在することが明らかとなってきた。一方で、EXCOR装着後も心室容積や心収縮能がほとんど回復しない症例もある。これまで、装着前の血行動態や心筋組織線維化、小血管数の違いについての報告がある(Tominaga et al. Eur J Cardiothorac Surg. 2020)が、DCMの遺伝的背景の差異については明らかではない。
(対象と方法)当院でEXCORを装着し、その後心機能の回復によって離脱した乳児期発症DCM5例と離脱不能であった乳児DCM7例を対象として全エクソンシークエンスを施行した。そのうち現在までに結果が判明している各々5例について本発表では解析した。候補バリアントは心筋症関連遺伝子257個の中でアレル頻度0.5%未満、HGMD, Intervar, CADD, Proveanの機能予測を行い、同一バリアントで心筋症発症の既報が複数あるものを病原性ありと確定し、機能障害が予測されるものの既報がない新規バリアントはVariant Unknown Significance (VUS)とした。
(結果)離脱不能例と離脱例において男女比(2:3 vs 0:5)、発症月齢(2.6±2.1 vs 5.6±3.0)、EXCOR装着月齢(10.6±8.5 vs 11.6±8.8)は有意差がなかった。装着体重は離脱不能例において小さい傾向があった(5.0±1.1 vs 6.9±1.3; P=0.06)。離脱不能例でMYBPC3の既報のあるナンセンス変異を認めた他、2例のVUSを認めた。離脱例では1例のVUSの同定があった。VUSをいれてもバリアント同定率には有意差を認めなかった。(P=0.26)
(結語)離脱例と離脱不能例において心筋症発症に関連する遺伝子に有意なバリアント保有率の差はなかった。症例数が少ないため引き続き検討が必要である。